1990年代、カシオの腕時計「G-SHOCK」は大ブームとなった。さまざまなモデルが発売され、行列ができて飛ぶように売れていく。しかしブームは数年で終わりを迎え、カシオの時計事業は赤字スレスレまで落ち込んだ。増田氏はその時期を「最高と最低を味わった」と振り返る。
「90年代のG-SHOCKブームの前後で、私たちは最高と最低を味わいました。その結果、事業を安定成長させるにはどうすべきかと考え、アナログモデルへ注力することを決めました。デジタルに比べて、アナログウオッチは市場が広い。しかしスイスウオッチブランドや、国内にもたくさん先駆者がいる、極めて成熟した市場なのも事実です。ここでカシオが独自のポジションを得るためには、クロノグラフを超える、アナログウオッチの新しい『顔』を作らなくては。そう考えてたどり着いたのが、『デジタルドライブ』という考え方です。
デジタルドライブとは、デジタル技術があるからこそ作れるアナログウオッチのこと。この考え方でカシオは、2014年、メタルアナログ市場に本格的に打って出ます」(増田氏)
スマートフォンと連携するEDIFICEも、「GPS+電波時計」のOCEANUSも、デジタル技術があってこそできる、スイスブランドなど伝統の腕時計メーカーとは異なるアナログウオッチへのアプローチと言える。
クロノグラフを超える、アナログウオッチの新しい「顔」。カシオが力を入れる新しいアナログウオッチが、今後、日本で、そして世界でどれくらい受け入れられるのか。ユーザーが真に望む「スマートウオッチ」とは何なのか。G-SHOCKだけにとどまらない、カシオの戦略と今後の展開に注目したい。
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