世界で一番乗り継ぎが便利な空港はどこ?――答えは「ウィーン空港」秋本俊二の“飛行機と空と旅”の話(4/4 ページ)

» 2014年10月17日 08時45分 公開
[秋本俊二Business Media 誠]
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きめ細かな航空管制で発着便をコントロール

ウィーン空港の管制塔は形もユニーク

 新ターミナルのオープンに先駆けて、2005年には109メートルの高さを誇る新しい管制塔も完成した。ぐにゃりとひねったような形が特徴の建物で、その最上階に管制室がある。航空管制や運航管理など日本では航空局が行う業務を、政府に代わって受け持っているのはオーストロ・コントロール社。私が取材で訪れたときはトラフィック量の少ない時間帯だったので、4名で管制業務に当たっていたが、発着便が集中する時間帯には増員して2本ある滑走路がフル活用できるようコントロールするという。「25分」という最短の乗り継ぎ時間が、そうしてキープされていくわけだ。

 もちろん乗り継ぎの利用だけでなく、この国(オーストリア)を目的とする旅行者も世界中からあとを絶たない。音楽の都として知られる首都ウィーンやモーツアルトの生誕地ザルツブルク、美しいアルプスの大自然に囲まれたチロル地方など、オーストリアは観光地としての魅力にあふれている。

 またウィーン空港からは、バンコク、デリー、ムンバイ、マレ、ニューヨーク、ワシントンDC、トロントなどへの長距離線ネットワークも充実している。いまから旅行プランを立てる人は、ウィーンを拠点にした自分なりのプログラムを考えて、ぜひ利用してみてほしい空港である。

管制官たちは2本の滑走路をフル活用し発着便をコントロールする

コラム:欧州の空を「ハエ」が飛ぶ

ボディにトレードマークの「ハエ」が描かれたニキ航空の機体

 今回レポートしたウィーン国際空港をハブとする1社が、ニキ航空である。創業者は、伝説のF1ドライバーであるニキ・ラウダ氏。彼は大の“乗り物好き”で、F1界から引退後は自らの苗字をつけたラウダ航空を設立し、経営していた。ラウダ航空はその後、経営難から2000年11月にオーストリア航空に吸収されてしまうが、その情熱は消えない。2003年になると、こんどは自分のファーストネームをつけたLCCのニキ航空を設立したのだ(現在、二機航空はエアベルリングループ)。

 ユニークなのはそのイメージマスコット。同社のシンボルはなぜか「ハエ」で、尾翼やボディにハエのイラストを描いた機体が欧州の空を飛んでいる。なぜハエを? 日本人には理解できないのでスタッフに質問してみると、意外と単純な理由だった。「F1のように地上を走るのではなく、飛行機は空を飛ぶでしょ。飛ぶは英語で“FLY”――つまり“ハエ”なのさ」


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