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蔓延する危険に気付かないユーザー――調査で明らかになった「認識ギャップ」(1/2 ページ)

» 2004年10月26日 22時00分 公開
[IDG Japan]
IDG

 インターネットサービスプロバイダーのAmerica Online(AOL)が実施した調査の結果、家庭のコンピュータの20%がウイルスまたはワームに感染しており、スパイウェアやアドウェアなどの各種の監視プログラムが入り込んでいるコンピュータは80%にも上ることが明らかになった。にもかかわらず、3分の2以上の家庭ユーザーは、オンラインの脅威に対して自分のコンピュータは安全だと考えている。

 家庭のコンピュータとその所有者を対象としたこの調査では、ユーザーの認識と実際にインターネット上に蔓延する危険とのギャップが浮き彫りになった。

 「多くの家庭コンピュータユーザーがウイルス対策ソフトウェアやファイアウォールなどのセキュリティ対策を講じていないのは、この認識ギャップが原因であり、これは重要な個人情報や財務情報の保全という面でも脅威になりかねない」とAOLが公表した報告書は記している。また調査の回答者は、最近では個人情報の管理に自分のコンピュータを利用することが多いと答えている。

 サイバーセキュリティ問題に対する人々の意識の向上に努めている非営利団体のNational Cyber Security Alliance(NCSA)も調査の実施に協力した。

 調査では9月から10月にかけて、技術者が、ブロードバンドまたはダイヤルアップでインターネットに接続している329台の家庭コンピュータを調べた。

 調査協力者に対しては、ネット上の危険の認識について聞き取り調査が行われた。聞き取り調査に続き、AOLの技術者が回答者のコンピュータのファイアウォールおよびウイルス対策ソフトウェアの設定を調べ、ウイルスの感染およびスパイウェアやアドウェアの有無をチェックした。

認知度の低いスパイウェア

 現在、ウイルスに感染していたのは回答者の約2割で、過去に感染したことがあると答えた人は約3分の2(63%)に上ったにもかかわらず、調査に協力したユーザーの7割以上がウイルスやネット上の危険に対して自分は安全だという誤った認識を抱いていた。

 ウイルスよりもスパイウェアのほうが一般的な問題でありながら、それに対する認識が低いことも今回の調査で明らかになった。スパイウェア/アドウェアプログラムは調査対象のコンピュータの8割で見つかり、これらの感染マシンには平均すると93個のスパイウェア/アドウェアコンポーネントが組み込まれていた。

 スパイウェアとは、コンピュータユーザーの操作を不正に監視する(その情報を取得・転送することも多い)キーロガーソフトウェアなどのプログラムを総称する用語である。アドウェアは、ネット販売業者の宣伝目的などでユーザーの行動(Webサーフィンなど)を把握するWebページcookieのように合法的にインストールされるソフトウェアを指す。

 調査によると、スパイウェアに感染していたコンピュータのユーザーの約9割は感染に気づいておらず、またスパイウェアプログラムが何であるのかも知らなかった。

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