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「デジアナ空間分譲地ビジネス」は離陸するか?(3/5 ページ)

» 2004年12月27日 16時48分 公開
[竹村譲,ITmedia]

 リフィル形式のメモでは、日立マクセルは、Anoto大陸のほんの一部のたったリフィル1ページ分だけの土地売買契約をして、「ビジネスメモ用紙」や「ビジネスメール用紙」は、おのおのが同じそれぞれ1種類のAnotoパターンを使い回ししているのだ。

 また「ビジネスメモ用紙」や「ビジネスメール用紙」には、用紙の一部のスペースに事前に確保されたアイコンやエリアをデジタルペンでチェックすることで、デジタルペン内のデータが転送された時に、PC側のアプリケーションで既に組み込まれていたり、ユーザーがプリセットした既定の操作を自動実行することが可能となっている。

 「ビジネスメモ用紙」は、この機能を使って欄外の「送信」ボックスをチェックした後、デジタルペンとPCとをUSBケーブルで接続してデータ転送を行うと、自動的に記述内容がMicrosoft Wordを起動し、その画像情報として表示される。

 また、「ビジネスメール用紙」の場合、手書きのメールとして送信する際に、背景として、「限定」、「社内」、「重要」、「極秘」といったグラフィックの透かし模様のようなオーバーレイを選択できたり、「アドレス選択」ボックスをチェックするだけで、事前にPC側アプリケーションに登録した10カ所の宛先リストから任意の対象を選択、送信することが可能だ。

 この機能を活用すれば、車内でシステムノートの「ビジネスメール」のリフィルページを開き、まず最初にデジタルペン内の該当メモリのイニシャライズのために「開始」ボックスをチェック。続いてメール本文を手書きで自由に書き、送信先の「アドレス選択」ボックスから送信先を選択。最後に「送信」ボックスをチェックして、帰社後、デジタルペンを自分のPCに接続すれば、画面上で送信イメージのプリビューを見て、後は少しのステップでメール送信が完了する。

 日立マクセルが7月20日から運営しているサーバの力を借りれば、この「ビジネスメール」リフィルを活用して、PCはもちろん、昨今は著しく解像度の向上した携帯電話にもビジュアル度抜群の手書きアナログメールを送ることが簡単にできる。

ビジネスメール用紙を使うと簡単に手書きメールをケータイ電話に送れる

 もちろん、相手がパソコンでも携帯電話でも、番号やエリアをチェックするだけで目的の相手にメールを送ってくれる便利な「アドレス選択」では、「何番が一体誰なのか?」ということは“脳みそ奥”のひだの中に整然としまっておくか、そんな能力がなければ、備忘録メモをいつも用意しておく必要があるだろう。

 うっかりすると、予想外の彼女の携帯電話にとんでもない内容の手書きメールを送ってしまうリスクも十分ある。もちろん、便利な「備忘録メモ」も、PC側アプリケーションのアドレス保守と連携していることが前提であることは言うまでもない。いつの時代も、テクノロジーは「マメさ」をカバーはしてくれない。

 現在Web上で先行販売されているデジタルペンのビジネスモデルは、その多くの対象が企業の構成員であるビジネスマンであると思われる。手書きというアナログデータをデジタル化して、既に世の中にあふれているデジタルデータと同じレベルで区別なく扱い、個人の生産性を向上させる「PAN」(Personal Area Network)のツールである。

 Anoto社では、この狭いエリアでの活用を「ローカルモデル」と呼び、「Local Paper Look-up Service」(LPLS)という独自の呼称を使っている。デジタルペンに記録された絶対座標の集積データと、ペアとなるパソコン上のアプリケーションだけで、あまり難しいことを考えることなく、生産性の向上を実現できる比較的小規模の閉じたシステムである。

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