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RSS更新通知の配布効率化プロジェクトが前進

» 2005年06月01日 21時46分 公開
[Matt Hicks,eWEEK]
eWEEK

 ブロガーが新しい投稿の通知を送るのは、街頭の新聞スタンドの売り子が最新記事の見出しを大声で叫ぶのに似ている。ブロガーとBlogコミュニティーの急速な増大に伴い、声を届けるのはますます難しくなっている。

 だが、読者にフィードの最新の更新を知らせるための基本的なRSSサービスの拡張により、この悩みは軽減されるかもしれない。

 一部の有力なRSS検索・アグリゲーションサービスが、RSSフィードの更新通知を配布するための次世代アプローチの構築に向けて結集し始めている。RSSフィードは、ほとんどのBlogやますます多くのニュースポータルサイトで中心的役割を担っている。

 「FeedMesh」と呼ばれるアプローチは、アグリゲーター同士が協力して更新情報をお互いに共有することで、既存の多数のpingサービスを一歩推し進めるものだ。

 PubSub Conceptが先頭に立って進めるこの取り組みのアイデアは、昨年、アグリゲーターなどRSSとBlogの主要関係者の非公式の会合で生まれた。

 「Blogコミュニティーの現状や特性に合ったアイデアだ」とPubSubの共同創業者で最高技術責任者(CTO)を務めるボブ・ワイマン氏は語る。「サイトがフィードを作成する場合、その目的はシンジケーションだ。そしてサイトはできるだけ大規模なシンジケーションを目指している」

 pingサービスはBlogから更新通知を受け取って公開したり、特定のインデックスに追加するものだ。Weblogs.comなどのように広く一般に公開されているものもあれば、TechnoratiやYahoo!など個別の検索エンジンやアグリゲーターのサービスに組み込まれているものもある。

 だが、アグリゲーターとブロガーは一般的なpingサービスに代わるアプローチを模索し始めている。公開されるフィードの数が増加の一途をたどり、競合する検索エンジンやアグリゲーターの間でpingサービスが乱立していることが背景にある。

 PubSubでは、FeedMeshで約1000万のフィードを追跡しているとワイマン氏は語る。

 FeedMeshはアイデアが登場して以来、組織や技術の詳細がメーリングリストで活発に議論されてきた。これまでにFeedMeshプロジェクトに参加しているRSSアグリゲーターにはBlo.gs、BlogShares、Syndic8、Blogdiggerなどがあり、Blogdiggerは4月に参加を発表している。

 現在、FeedMeshでは毎秒約15〜20件の通知を処理しているとワイマン氏は語る。プロジェクト参加者は概して更新通知を読み込みにとどまっているが、最終目標はすべての参加者が等しく自らの更新通知を提供するようになることだ。

 更新情報はpingサービスから得られるだけではない。ワイマン氏によると、FeedMeshで提供されるフィード更新通知の約4分の3は、実はpingサービス以外のソースから集められている。こうしたソースとなっているのは、アグリゲーターや検索エンジンが行っているRSSやAtomフィードの巡回の結果や、Blog公開サービスが特定のアグリゲーターと直接共有している更新情報だ。

 FeedMeshは技術的には、参加者が更新情報をお互いに共有し、更新情報が参加者相互間でプッシュ送信されるようにするための合意された仕様に基づいている。「FeedMeshは、フィードアグリゲーターがまめに行う更新調査に基づいていたプロセスを、プッシュモデルに転換する」とワイマン氏は説明する。

 「われわれの取り組みで肝心なのは、手続きやプロトコルについての理解の共有を後押しして、対等な相互協力の合意を多数成立させていくことだ」とワイマン氏。「このアイデアでは参加者間のつながりは緩やかだが、これはWebでこれまでに見られた中でも格段に高度な協力によって進められている取り組みだ」

 FeedMeshの成功の大部分は、競合するケースが多い企業同士がフィードの更新情報の共有で協力する気になるかどうかにかかっている。ワイマン氏は自信を持っており、FeedMeshを利用すれば、参加者は相互に重複する更新調査の作業を行わずに済み、特定の機能やサービスの競争に集中できると語る。

 Blogツール大手のSix Apartの共同創業者も、競合企業同士が協力することは可能だと語る。

 「人々が協調して優れたアグリゲーションシステムを構築できると信じている」とSix Apartの共同創業者兼CTOベン・トロット氏は語る。「例えば最近でも、アグリゲーターやパブリッシャーは手を組んで規格作りに成功してきた」

 トロット氏は、FeedMeshプロジェクトの進展に注目しており、その成果はBlogツールメーカーにとって、新しいpingサービスのサポートを追加し続ける負担の軽減に役立つかもしれないと語る。

 だが一方で同氏は、FeedMeshはまだ登場して日が浅いため、詳細についてのドキュメントが充実するのを待っているという。

 「Blogを公開する側は、FeedMeshによって作業の重複が少なくなる」と同氏。「pingサービスでは、ブロガーは自分のBlogに関心を持ってもらっている相手全員に更新を個別に通知しなければならない場合と比べ、1段階楽になるが、FeedMeshではさらにもう1段階楽になる。より包括的な組織に通知する仕組みになっているからだ」

 Blogとフィードの検索サービス会社でFeedMeshに参加しているBlogdiggerでは、このプロジェクトのおかげで監視対象のフィードが2倍に増え、フィードをより効率的に追跡できるようになったとグレッグ・ガーシュマン社長は語る。

 「FeedMeshはこの分野の進化の方向を先取りしている。われわれとしても、更新情報をプッシュ配信してくれるサービスがあれば断然便利だ」(ガーシュマン氏)

 またFeedMeshでは、更新情報の中に付加情報が含まれている。pingサービスの更新情報では単にBlogサイトのURLが示されることが多いが、FeedMeshの場合は実際のRSSフィードのURLが提供されるとワイマン氏は語る。これはアグリゲーターや検索エンジンにとって時間とリソースの節約につながる。

 さらに、年末までに、FeedMeshの通知にはRSSとAtomのフィード全体を含めることも可能になりそうだとワイマン氏は語る。

 pingサービスの拡張を目指す新しいプロジェクトはFeedMeshだけではない。pingサービスの中央ハブ「Ping-O-Matic」も注目を浴びている。

 このサービスは2004年3月にオープンソースのBlogツール「WordPress」のコミュニティーから生まれたが、現在では「Drupal」や「Textpattern」などのBlogツールもサポートしていると、Ping-O-Maticの共同創設者でWordPressのリード開発者を務めるマシュー・ミューレンウェグ氏は語る。

 Ping-O-MaticはBlogツールから、あるいはブロガーから直接、更新通知を受け取り、デフォルトで13程度のpingサービスに転送する。Ping-O-MaticはHTMLインタフェースも備えており、ブロガーはこれを使って、更新情報を提供したいpingサービスを指定できるとミューレンウェグ氏は説明する。

 Ping-O-Maticは、ほかのサービスから更新通知の転送を求める希望があった場合は常に対応する方針で、増える一方のアグリゲーション・検索サービスにブロガーが更新を通知するプロセスを簡略化することを目指している。またPing-O-Maticの市場でのポジショニングは、FeedMeshの旗振り役で自らが商用フィードアグリゲーターでもあるPubSubとは異なっている、とムレンウェグ氏は語る。

 「Ping-O-Maticは、データについては転送する以外何もしないため、不公平なことや偏ったことをする理由がない。このことをポジショニングの軸にしていく」とムレンウェグ氏は話している。

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