アプリケーションがもう売れなくなったときに、何を売ればいいのか? それならサーバソフトを売って、もしそのサーバソフトが十分に興味深ければ、顧客はアプリケーションの新版を買ってくれるだろうと期待することだ。すべてうまくいけば、売り物にする新しいサーバソフトを手に、再び――少なくとも、一時的には――アプリケーションビジネスに復帰できる。
Microsoftはいつの間にかそうした状況に置かれている。わたしが知るユーザーたちは、選択の余地があればOffice 12、13、14……を寝飛ばすだろう。彼らは新機能を必要としていないか、あるいはMicrosoftは欲しい機能を加えてくれないとをあきらめている。こうした状況では、2006年に新しいOfficeがリリースされるというニュースは睡眠薬のようなものだ。
だからといって、わたしたちが永久にデスクトップアプリケーションと袂を分かつわけではない。しかし、Microsoftは顧客にアプリケーションをアップグレードさせたいなら、何か大きな、説得力のあることをしなくてはならないだろう。そこでわたしたちはこれまで、Office 12とWindows Vistaとともに、多数の新しいサーバが登場する(一度にではないが)と告げられてきたのだ。
しかし、顧客が「絶対に買わなければならない」と納得しなければ、Microsoftのサーバソフト販売はうまくいかず、混乱を来すだろう。同社のサーバソフトにはExchangeやSQL Serverがある。後は、ほとんどの人にとって、Microsoftが販売しているほかのサーバソフトの名前を挙げるのは難しい。
これはMicrosoftがサーバソフトを、その恩恵を受けるユーザーではなく、IT部門に販売しているからだ。それに同社は、通常はかなりのカスタム作業が必要か、少なくとも正しく動かすためにある程度の管理が必要なサーバソフトを販売している。
わたしは、Office 12サーバが「ビジネスインテリジェンス(BI)」にフォーカスするというMicrosoftの発表に懐疑的だ。上司が好きそうなものだが、熱心すぎる幹部が新発見の「インテリジェンス」を仕事に持ち込んだら、働きバチは嫌になるだろう。
IT部門にのみ目を向けて売り込むよりも、Microsoftはユーザーに売れるサーバソフト、少なくとも説得力あるメリットがあり、ユーザーがIT部門に導入やサポートを求めるようなサーバソフトを開発する必要がある。ワークグループ内の余ったPCで動作し、ユーザーがネットワークに「密かに」入れるエントリーレベルのサーバソフトを売ればなお良い。
確かに、そんなことをすればIT部門が絶対に怒り狂うのは分かっているが、小規模なグループ向けに自分で管理できるサービスを提供する良い方法だと思う。
Microsoftは、これらサーバソフト向けのエンタープライズ管理コンソールを販売し、さらにはIT部門が1台のマシンで複数のワークグループサーバを仮想化できるようにするかもしれない。だがそれは、初期デプロイメント戦略というよりもむしろ移行パスだろう。
理想的な「人々のためのサーバソフト」は、今便利なだけでなく、古いPCのパワーを使って、顧客が既に持っているハードをより有効に活用できるものだ。MicrosoftのOEMハードメーカーはこれらサービスの実装用に、スタンドアロン型のネットワーク機器などすぐに使える実行可能なハードを販売している。
現時点ではソフトとしてのサービスもチャンスとして浮上しているが、ホスティング型ワークグループサービスにはシートごとに料金がかかり、多くの見込み顧客にとっては非常に高いかもしれない。
Microsoftがこの販路に向けてどんなサーバソフトを開発するのかという案を出すつもりはない。わたしのリストの一番上にはワークグループプロダクティビティが載っているとだけ言っておく。部門レベルで利用され、必要に応じて相互に接続される小さなサーバの集合は、顧客に(Microsoft傘下の)GrooveのP2P技術の購入を説得する素晴らしい方法かもしれない。
ここで重要なのは、Microsoftがアプリケーションを売るのと同じやり方でサーバソフトを売る方法を身につけることだ。現実的な問題を解決する何かをユーザーに与えれば、Office 12は放っておいてもどうにかなる。
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