2019年の開始以来、多様な最新論文を取り上げている連載「Innovative Tech」。ここではその番外編として“ちょっと昔”に発表された世界中の個性的な研究論文を独自視点で厳選、解説する。執筆は研究論文メディア「Seamless」(シームレス)を主宰し、日課として数多くの論文に目を通す山下氏が担当。イラストや漫画は、同メディア所属のアーティスト・おね氏が手掛けている。X:@shiropen2
米ハーバード大学や英ケンブリッジ大学などに所属する研究者らが2025年9月に英医学誌「The BMJ」で発表した論文「Total and specific potato intake and risk of type 2 diabetes: results from three US cohort studies and a substitution meta-analysis of prospective cohorts」は、じゃがいもの摂取量や調理法が2型糖尿病のリスクにどう影響するかを調査した研究報告だ。
研究は、米国の医療従事者20万5107人を対象に行われた。追跡期間中に、2万2299人が新たに2型糖尿病と診断されている。
研究の結果、じゃがいも全体の摂取量、特にフライドポテトの摂取量が多いほど、2型糖尿病になるリスクが高まることがわかった。具体的には、フライドポテトを食べる量が週に3食分増えると、発症リスクが20%上昇するという。
しかしその一方で、焼く、茹でる、マッシュポテトといった油で揚げない調理法のじゃがいもについては、たくさん食べても糖尿病リスクを有意に高めることはなかった。つまり、じゃがいもそのものがリスクというよりも、高温の油で揚げる調理法が発症リスクを押し上げている要因と考えられる。
さらには、じゃがいもを別の炭水化物に置き換えた場合の効果も検証している。週3食分のじゃがいもを全粒穀物に置き換えた場合、糖尿病リスクが低下すると推定された。特にフライドポテトを全粒穀物に置き換えると、リスクを19%下げられると見積もられた。
しかし反対に、じゃがいもを白米に置き換えた場合は、かえって糖尿病のリスクが上がってしまうことも判明した。
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