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» 2007年03月23日 12時45分 UPDATE

科学なニュースとニュースの科学:【第8回】日本にも恐竜はたくさん住んでいた? 〜相次ぐ化石発見報告〜

作家/脚本家/翻訳家/批評家でアニメのSF設定も手がける堺三保氏に、気になる科学の話題をピックアップして独自の視点で語っていただく連載コラムです。近年、日本各地で恐竜の化石が発見され話題になっていますが、その背景は……。

[堺三保,ITmedia]

 ここのところ、日本国内で恐竜の化石が発見されたというニュースが立て続けに報じられたのを読者の皆さんは覚えておられるだろうか?

 丹波地域の中生代白亜紀前期(約1億3000万年前)の地層からは、肉食恐竜の歯や草食恐竜のろっ骨(首と尾が長く4本足で歩く草食恐竜ティタノサウルス類とみられ、アフリカ南東部のマラウイ共和国で発見された「マラウイサウルス」(全長約10メートル)に特徴が似ているが、新種の可能性もあるという)とおぼしき化石が発見されたという報道が行われたし、岐阜県高山市荘川(しょうかわ)町の、いわゆる「手取層群」と呼ばれる中生代白亜紀前期の地層(約1億2000万年前)からは、空を飛ぶ「翼竜」の一種「ズンガリプテルス」の子どもの骨の化石が発見されたという報じられている。

 日本で初めて恐竜の化石が発見されたのは1978年のこと。それ以来、これまでに15の道および県で恐竜化石が発見されているとのことだが、なかでもこの10数年は、新しい発見が続いているという。

 その理由は、アマチュアも含めて恐竜化石に対する学術的な興味を持って地層を調査する方が増えたこと(実際、今回の丹波での発見はアマチュア研究家が第1発見者だし、岐阜での発見は大学院生によるものだ)、そして、最初の、化石の発見をきっかけに、いくつかの地方自治体が調査団を組織して、調査や発掘を進めるようになってきているからだとか。

イラスト

 よくよく考えてみれば、中生代においては、恐竜は世界中を跋扈していたわけで(恐竜の化石が発見されていない大陸はないとか)、実際、お隣の中国ではどんどん新しい化石が発掘されているわけだから、当時大陸と地続きだった日本にも恐竜の化石が残っていたって、不思議でも何でもないと言えなくもない。

 日本では主に白亜紀に陸上で形成された地層(陸成層)や、陸にやや近い海で形成された海成層から恐竜の化石が発見されており、なかでも、今回翼竜の子供の化石が発見された手取層群は、福井、石川、富山、岐阜の4県にまたがる国内最大の恐竜化石発見地帯となっている。そして、今回の丹波における発見場所は、篠山盆地一帯に広がる地層「篠山層群」の近くで、ここは白亜紀前期には大陸内部の湖だったとされており、以前から研究者の間では篠山層群での発見の可能性が指摘されていたということだから、今後この周辺でさらなる発見があるかもしれない。

 だからといって、恐竜に興味のある皆さんに「あなたも発掘に行ってみては?」と気軽に言っちゃうのはちょっと問題だ。

 まず第1に、化石というモノは素人目にはなかなかそれとわかりにくい。なんせ、きちんと元のままの形で発見されることよりも、バラバラに散らばった状態で発見されることの方が圧倒的に多いからだ。素人目にはどれが首でどれがしっぽなんだかって状態だろうし、最悪の場合、貴重な化石を誤って破損してしまいかねない。

 第2に、というか、こっちのほうが大事かもしれないんだけど、恐竜の化石を見つけるにはけっこうな山の中に分け入っていかなきゃならないので、それなりに山歩きの経験を積んだ人じゃないと危ないということもある。

 だいたい、なんで今まで日本では恐竜の化石が見つけにくかったかというと、それは日本列島ができるときの造山活動で、白亜紀の地層、特に陸成層(中国大陸で恐竜が発見されているのも、この陸成層が中心)そのものがなかなか見つけにくいかららしいのだ。

 実際、今回の丹波山中の発掘現場(今年に入って本格的な発掘調査が開始されている)は、川に面した急斜面なうえ、上に重なる砂岩・礫岩層が崩落する恐れもあって、大変危険だとかで、現在現場には関係者以外立ち入れなくなってたりする(もちろん、盗掘防止の意味もあるんだろうけど)。

 とはいえ、先の言葉と矛盾するように聞こえるかもしれないけど、逆に言えば、それなりに山歩きの経験と化石を見る目を養いさえすれば、アマチュアでも日本国内で恐竜の化石を発見できるかもしれないということ。

 あくまでも要経験かつ現場では細心の注意が必要だけど、真剣なマニアの人は挑戦してみる価値はあるかも。

次回は未来予測について取り上げます。4月6日掲載予定)

堺三保氏のプロフィール

作家/脚本家/翻訳家/批評家。

1963年、大阪生。関西大学大学院工学研究科電子工学専攻博士課程前期修了(工学修士)。NTTデータ通信に勤務中の1990年頃より執筆活動を始め、94年に文筆専業となる。得意なフィールドはSF、ミステリ等。アメリカのテレビドラマとコミックスについては特に詳しい。SF設定及びシナリオライターとして参加したテレビアニメ作品多数。仕事一覧はURLを参照されたし。2007年1月より、USCこと南カリフォルニア大学大学院映画学部のfilm productionコースに留学中。目標は日米両国で仕事ができる映像演出家。

ウェブサイトはhttp://www.kt.rim.or.jp/~m_sakai/、ブログは堺三保の「人生は四十一から」


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