この11月3日と4日に日本の天文学者、生物学者など約50人が集まって、「宇宙人が発信している可能性のある電波を確認できたとき、どこに連絡するべきなのか」について議論するというニュースが入ってきた。
まあ確かに、SF映画なんかだと、宇宙人が地球にやってきた途端に、なぜかアメリカの大統領が地球人代表で交渉役に立ったり、有無を言わさず戦争状態になったりしてて、実際に宇宙人が見つかったとき、どういう手続きで社会がそれに対応するのか、実は一般にはあんまり知られてなかったりする。
「実際に宇宙人が見つかったとき」と言われて、頭ごなしにバカにする人や、いきなりUFOだコンタクティだなんて『X-ファイル』みたいな話を連想する人も多いかもしれないけど、宇宙人(もっと正確に言うと地球外知的生命体)による文明が存在する証拠として、宇宙空間を飛び交う電波の中から、人為的なものと思われるもの(要はノイズじゃなくて何らかの規則的な信号になっていて、意味があると考えられる電波)をさがす研究は1960年代から世界各国でマジメにおこなわれている。
現在ではこの研究をSETI(セティ)すなわち地球外生命探査(Search for Extra-Terrestrial Intelligence)と称しているんだけど、実は今回のニュースも、兵庫県立西はりま天文台で開かれるSETI研究会における討論会のことなのだ。
ちなみに、何年も前からインターネットを利用していた人たちの多くにとっては、SETIはけっこうおなじみのものかもしれない。
SETI@home(セティ・アットホーム)といって、無償で配布された解析ソフトをインターネットに接続された個人のパソコン上で稼働させ、天文台が収集した電波を解析する作業を世界中の家庭で分散演算処理するプロジェクトが進められているからだ(初代SETI@homeは2005年に運用停止したが、2004年から始まった新たなプロジェクトが現在も稼働中)。
さて、「宇宙人が見つかったとき」というか「宇宙人の通信を発見したとき」どうするかということについては、実は1991年の国際天文学連合(IAU)の総会において、以下のような次のプロトコル(手続き)が、すでに決議されてたりする(以下はWikipediaを参照したが、この件については『ファースト・コンタクト―地球外知性体と出会う日』金子隆一著/文春新書というそのものずばりの本があるので、興味のあるかたはぜひそちらを参照されたい)。
とまあ、けっこうきっちり手続きは決まってるんだけど、日本の場合、2番の「関連した国家の当局に通報」という項目の「当局」がどこになるか、決まってなかったりするんで、そこんところをどうしたらいいんでしょうねって話を、とりあえず科学者たちがすることになったというのが、今回のニュースの意味するところなのだ。
まあ、転ばぬ先の杖ですわな。
じゃあ、実際問題として、ほんとに宇宙人なんているの? って話を、次回続けたいと思うので、もう少しおつきあいいただければ幸い。
作家/脚本家/翻訳家/批評家。
1963年、大阪生。関西大学大学院工学研究科電子工学専攻博士課程前期修了(工学修士)。NTTデータ通信に勤務中の1990年頃より執筆活動を始め、94年に文筆専業となる。得意なフィールドはSF、ミステリ等。アメリカのテレビドラマとコミックスについては特に詳しい。SF設定及びシナリオライターとして参加したテレビアニメ作品多数。最近の仕事では、『ダイ・ハード4.0』(翻訳:扶桑社)がある。仕事一覧はURLを参照されたし。2007年1月より、USCこと南カリフォルニア大学大学院映画学部のfilm productionコースに留学中。目標は日米両国で仕事ができる映像演出家。
ウェブサイトはhttp://www.kt.rim.or.jp/~m_sakai/、ブログは堺三保の「人生は四十一から」。
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