前回は宇宙人の存在が確認されたらどうするかって話だったんだけど、今回は、小説や映画じゃなく現実の話として、人間以外の知的な生物が、他の太陽系で文明を築いてたりする可能性はどれくらいあるのかって話をしたい。発見するも何も、いないもん探してもどうにもならんもんねえ。
さて(知ってる人は知ってるとは思うけど、そこはご勘弁)、この件に関しては、すでに1960年代から「ドレイクの方程式」という推定法が存在している。
これは、アメリカの天文学者フランク・ドレイクが考案したもので、そのものずばり、宇宙にどれくらいの数の地球外生命体がいるか、いや、もっと正確に言うと、我々と同じ銀河系内にいて、我々人類と遭遇する可能性のある知的な文明がどれくらい存在するかについて、推定するための方程式なのだ。
この方程式は以下のような実に簡単なものだ。
要は、この方程式の右側にある7つの変数に、それぞれ適切と思われる数字を入れてみて、左側のNの値(簡単に言えば答)が1より大きければ、
「銀河系内には、人類以外の知的文明が存在している」
と言っていいことになる。
まあ、ここで問題は、ぶっちゃけR*以外の6つの数については、憶測の域を出ないってこと。
もっとも、この6つの変数に、かなり可能性の低い値を入れても、Nの値は1より大きくなるって言われている。
だから、「宇宙人が存在する可能性は、科学的に妥当なものだ」と主張してる人も大勢いる。それが、前回紹介したSETI(地球外生命探査)を後押しする大きな力にもなってたりする。
でも、現実問題として、
「今のところ、宇宙人は発見できてない」
という厳然とした事実があるわけですよ。
この問題を、天文学の世界では「フェルミのパラドックス」と読んでいたりする。それはつまり、
「この宇宙に人類以外の知的生命体が存在するとすれば、なぜ我々はそれを発見できないのか?」
ということだ。
この問いの答は、実はものすごく限られている。つまり、
のどれかでしかあり得ないのだ。
5番と6番の答は、可能性としてはあり得るとしても、かなり強引ではある。
SETIは、4番目の答が正しい可能性を探っているわけだ。今のところ、成果はまだ出ていないわけだけど、なんせ宇宙は広すぎてまだまだちゃんと調べつくしたとは言えないわけだし、前にこのコラムで話題にした「太陽系外惑星」なんかは、技術の進歩や探し方のコツ1つで、急に新発見が相次いでるわけだから、筆者なんかは宇宙人がいてもいいような気がするんだけど、さて、皆さんはどう思います? 宇宙人はいる? それとも、いない?
作家/脚本家/翻訳家/批評家。
1963年、大阪生。関西大学大学院工学研究科電子工学専攻博士課程前期修了(工学修士)。NTTデータ通信に勤務中の1990年頃より執筆活動を始め、94年に文筆専業となる。得意なフィールドはSF、ミステリ等。アメリカのテレビドラマとコミックスについては特に詳しい。SF設定及びシナリオライターとして参加したテレビアニメ作品多数。最近の仕事では、『ダイ・ハード4.0』(翻訳:扶桑社)がある。仕事一覧はURLを参照されたし。2007年1月より、USCこと南カリフォルニア大学大学院映画学部のfilm productionコースに留学中。目標は日米両国で仕事ができる映像演出家。
ウェブサイトはhttp://www.kt.rim.or.jp/~m_sakai/、ブログは堺三保の「人生は四十一から」。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR