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さようなら、Transmeta

» 2008年09月26日 11時41分 公開
[Jeff Burt,eWEEK]
eWEEK

 米Transmetaが身売り先を探していると、eWEEKのスコット・ファーガソンが報じた。業界で「グリーンIT」が叫ばれるようになる何年も前にバッテリー持続時間とエネルギー消費に着目した革新的なプロセッサ企業も、これで終わりだ。身売りの動きは予想できなかったわけではなく、業界にも大した波紋は起きないだろう。それでもTransmetaの消滅は注目に値する。

 同社は2005年、CrusoeとEfficeonプロセッサの製造を中止し、知的財産権、特にLongRunとLongRun2技術のライセンスを通じた収益確保に専念すると発表した後、目立った動きがなかった。LongRun、LongRun2は、周波数や電圧といった要素の動的な管理を実現する技術。

 この時点までTransmetaは、モバイルコンピューティング分野、そして後には組み込み分野の需要増大に応え、エネルギー効率の高いプロセッサの開発に多額を費やしていた。しかし同社は市場でそれほどのけん引力を発揮できなかった。それは2005年の決定に至るまで、四半期決算ごとに数百万ドル単位の赤字を出していたことでも分かる。それでも同社はエネルギー効率をめぐる論議を十分巻き起こし、Intelが消費電力問題への対応に乗り出すきっかけを作った。

 Transmetaは革新的な技術を提供する興味深い会社だった。取材対象としては、時に奇妙な会社でもあった。極めて競争が激しいプロセッサ分野に自ら切り込もうとしながら、経営陣は手の内を一切明かさなかった。経営陣は切れ者ぞろいだったが、会見での発言は極めて少なく、それは自分たちの方から設定したインタビューでも変わらず、焦った広報担当者が何とか口を開かせようと促しても、幅広い業界動向についてのコメントさえ拒むこともあった。経営陣は、TransmetaがIntelを躍起になって追いかける小さな会社ではなく、まるで自らがIntelであるかのように振る舞った。それによって結末が変わることはなかったろうが、当時のTransmetaの助けにもならなかったと思われる。社名を知ってもらうことも簡単ではなかった。米国外ではある程度成功したが。

 わたしは過去にAMDについても同じことを言ったが、競争は常にIntelにとって有利に働いた。Transmetaの場合も同じだった。モバイルコンピューティングで急成長し始めた業界の中で増大しつつあった問題をTransmetaがとらえ、賢いIntelがそれに気付いた。それは避けられないことだったが、結果的にはこの小さな会社の破滅を招いた。

 さよなら、Transmeta。君の狙いは良かったよ。短い間だったが、君がいてくれてよかった。

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