インタビュー
» 2007年04月19日 21時05分 公開

達人の仕事術:3分LifeHackingの「kizuki」って誰だ? 山口真弘さんの“ライフハック”仕事術 (2/2)

[泉あい,ITmedia]
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会社員とライターの相性は?

 山口さんは、以前PC周辺機器メーカーの販促広報を担当していた。ライターを始めたのも広報時代の人脈がきっかけだ。「ライターになりたいと思ったことはぶっちゃけなかったが……」と苦笑するが、「学生時代は美術部で、何かを作って人前で発表するのは好きだった」ともいう。それに広報という仕事上、日常的に文章を書いたり添削したりという機会があった。だからこそ、ライターとして文章を書くことの負担は全くなかったという。

 「基本的に会社の仕事とライター業はごっちゃにならないようにしてるんです」

 終始穏やかに話す山口さんが、表情をかたくした。今の会社には、ライター業との兼業を許可してもらっている。その分本業をおろそかにできないという強い自覚がある。それに、記事を書くときの決め事もあるのだ。それは、自社に有利な記事を書かない、提灯記事は絶対に書かないということだ。「自分が使ってみて、本当にいいと思った製品を紹介します。会社の中で評価が上がるような記事は書いたことはありません」と、太い眉毛をきりりと上げた。自分が試して本当にいいと思ったものだけを、しかもデメリットも含めて書く。眉毛と同じ一本気な漢なのである。

 仕事で知って便利だと感じたソフトウェアやサービスを紹介するケースは多い。例えば、Webサイトの素性を確認するサービスを仕事中に見付けて、3分LifeHackingで紹介したことがあった(2月6日の記事参照)。

 ライター業を始めて、人脈も増えた。編集部側の立場を理解できた。企業広報として的確なアプローチができるようになったことはプラス材料だといえる。会社員とライター、お互いの相乗効果は高いのである。

ボツネタは“福袋”行き

 何でもデジタルツールで処理しているのではないか――山口さんをそう思う人もいるかもしれない。実際はアナログツールもよく使う。商談の場ではアナログのメモ帳やノートが活躍中だ。3分LifeHackingの記事の中にもアナログネタは数多く出てくる。中でも好評だったのは、「A4用紙を手軽に三つ折りする方法」「机にうつ伏せで快適に寝る」「ものすごい速さで紙をめくる方法」など。「スーツの上着をスマートに持ち歩く」も、外見を気にせず使っている。

 何でも自分で試して「これはいい!」と思ったら迷わず原稿を書くが、原稿をかけそうになくても、面白いそうならとりあえず買ってみる。マウスは月に1回は買うし、今使っている東プレのキーボード「Realforce 106」も、USB版が出たら買わなくちゃいけない。1台スペアがあるというのに――。

 一見無駄に思えるこの行為も「無駄じゃない」のだ。記事に書く当てがなくても、製品のバックボーンとしてある程度知っておかないといけない。「バージョンごとに知らないと、改善された時にどこで改善されたか分からなくなってしまう」からだ。

 そんなにいっぱい試して、部屋の中がモノで溢れていないのだろうか。山口さんは「異常なくらい物がある家」だという。対処法は、親しい友人に譲ること。1個1個を選別して譲るのではなく、ランダムにいろいろなものをまとめた詰め合わせを作り、「これをまとめて引き取ってくれるなら、送料はこちらで負担するよ」と提案する。まるで福袋だ。

 本当にいいと思ったもの以外は、購入代金が無駄になったとしても決して記事にはしない。アピールポイントがない製品は“福袋”に――というわけだ。ライター業とは資料などの紙類がたまってしまうものだが、それを保管するのに一役買っているのが、PFUのドキュメントスキャナ「ScanSnap」(2006年12月の記事参照)。高校生の時から描いている絵がたくさん残っていたが、それもPDFファイルに変換して残すことができた。

会社員もライターも

 会社員とライターという“2足のわらじ”を履いている山口さんだが、今後会社から独立し、ライター業に専念するつもりはない。ライターだけに絞ると、現場でのインプットができなくなる。現場との接点は持ち続けていたいからだ。

 ライターとしては、レビューなど堅めの記事が多いが、笑いが取れる記事もやりたい。山口さんのフェイバリットである漫画家・トニーたけざき氏と明和電機に共通する、真面目な顔をしてバカをすることを目指したいのだそうだ。その点では冒頭にご紹介した、2007年エイプリルフールネタ「べつやくメソッド」は本来の記事かもしれない。

いまの心境を「べつやくメソッド」で円グラフ化してもらった

 お茶目な一面もある。インタビュー中に何度となく「すみません、すみません」。あやまり癖があるのだ。それに、3分LifeHackingでも紹介しているミニボールペン「ペンポッド」(2006年8月の記事参照)の本体をどこかに飛ばしてしまい、残ったキャップを見つめては「どうしたものか」と途方に暮れたりしている。

 想像してほしい。情報収集のために、妻が収集している通販グッズの本をめくっている山口さんの姿を。東急ハンズや王様のアイデアに足を運び、面白グッズを人知れず探している姿を。「これは使えるぞ!」と思うグッズやツールを見つけたら、ぜひご一報を!

プロフィール
お名前 山口真弘(やまぐち・まさひろ)
経歴 PC周辺機器メーカー在籍時からライターとして活動。現在はWebを中心に7媒体で定期的に執筆中。ジャンルは、PC周辺機器・家電・電子辞書・雑貨類のレビュー、業界ウォッチ記事から、ライフハック、さらにはエイプリルフールネタまで、ムダに幅広い。「涼宮ハルヒの憂鬱」シリーズの作者・谷川流氏は高校時代の同じ部の先輩に当たる。「部数にして数百分の1近づきました(笑)」(山口さん本人談)
PC 自作機およびThinkPad X60s
携帯電話/PDA(データ通信カードを含む) ウィルコムWX310Kがメイン、au W31Tがサブ。
デジタルカメラ Caplio R4。が、たいていはケータイカメラで代用
ブラウザ Sleipnir、Firefox
収集ツール(RSSリーダーなど) livedoor Reader
メールクライアント Becky!
インスタントメッセンジャー Windows Live Messenger、Skype
よく使うショートカットキー -
ファイル整理ツール(デスクトップ検索を含む) 基本的に人力で整理
バックアップツール NAS内蔵のツールでドライブごとバックアップ
検索サイト Google
Webメール Gmail
ブログ -
SNS mixi
ソーシャルブックマーキング はてなブックマーク、del.icio.us
Wiki -
影響を受けた人/本/Webサイト 明和電機、トニーたけざき
座右の銘 やったもん勝ち
手帳/ノート フツーの大学ノート
ペン シャープ&赤&黒ボールペンは必須。あとはペンポッド
その他小物(ICレコーダ、ポストイットなど) 電子辞書

取材 泉あい(いずみ・あい)

1966年生まれ。東京在住の独身。音楽講師、OL、派遣社員を経て、2004年12月末退職。2005年1月、ルポライター・ジャーナリストを目指し、インターネット上で取材活動を開始。ブログ「Grip Blog」などで、過去の取材活動を掲載中。


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