本当に「速い」プリンタの見つけ方チーム用ビジネスプリンタ選び、8つのポイント(1/3 ページ)

文書はササッと印刷してしまいたい。だからなるべく印刷速度が速いプリンタに越したことはない――と思いきや、実は印刷速度に関してはもう1つ、見落としがちな大事なポイントがあるのだ。

» 2008年09月25日 18時00分 公開
[小川夏樹,ITmedia]

 仕事は時間との勝負。印刷速度が速いプリンタほど便利なはずだが、印刷速度だけでプリンタを決めてしまうにはまだ早い。ドクトルPによると、実はもう1つ、見るべきポイントがあるようだ――。

 一般的にはプリンタの速度は「ppm」(「Page Per Minute」の略、毎分印刷する枚数を指す)で表すが、実際の利用シーンを考えると、ppmが大きい=印刷が速い とはいえない。では何を注意すべきなのか、見ていこう。

あらすじ

 素材メーカーのアラレでは、「チームで使うプリンタを購入せよ」という指令のもと、プリンタ初心者の社員、プリンちゃんとターくんが、それぞれ所属チームのプリンタ選びに挑むことに。ドクトルPの助言のもと、2人は予算内に収まる候補を、必要機能、さらに印刷速度に基づき絞り込んだが――。


(左)プリンちゃん:アラレ社員。新素材ACE22Xの売り込み専門の販促チームに配属。促販ツール作成用プリンタが必要。(中央)ターくん:アラレ社員。新素材ACE23Xの特許取得チームに配属。稟議(りんぎ)や契約書、提出書類用プリンタが必要。(右)ドクトルP:技術開発エンジニア。元大手OA機器メーカーにて20年商品開発に携わった後、フリーランスに転身。プリンタへの造詣が深く、プリンタ博士の異名を持つ

ドクトルP いよいよプリンタ選びも佳境だね。今回は、印刷速度とも関連する印刷時間について見ていくよ。

プリンちゃん&ターくん は〜い、よろしくお願いします。


本当に速いプリンタは、トータルの印刷時間が短い

 メーカーが公称する「ppm」値は、印刷を行う機構(これを「プリントエンジン」と呼ぶ)の性能自体を指す。だから毎分20枚のプリンタで印刷を始めたからといって、1分後に20枚出力できるわけではなく、実際には20枚未満しか印刷できない点に注意しよう。

 つまりプリンタ選びには、印刷速度だけでなく、トータルで印刷にかかる時間を考慮しないといけない。プリンタに印刷データを送るアプリケーションの処理時間なども印刷にかかる時間に含まれるのだ。

 ここで、印刷開始から紙への出力までの流れを順を追ってみていこう。

  1. アプリケーションから印刷ウィンドウを呼び出して印刷を実行する。
  2. アプリケーションが文書データを印刷用のデータに変換しプリンタドライバに渡す。
  3. プリンタドライバが、アプリケーションから渡されたデータをプリンタ用のデータに変換しそのデータをプリンタに渡す。
  4. プリンタ側が印刷可能かトナーの残量や用紙サイズの確認などの自己診断機能を開始。
  5. トナーを熱と圧力で定着させる定着器のウォームアップを開始(200度くらいまで)。
  6. 印刷を開始。
  7. 印刷完了。印刷された紙が出力される。

 これを見ると、(1)でユーザーがPC画面上をクリックした後、(2)〜(7)までのさまざまな処理に時間がかかることが分かる。特に(5)の定着器のウォームアップに時間がかかってしまうプリンタは、ウォームアップなしに瞬時に立ち上がるものに比べ、印刷開始から完了までの時間が最大で50秒弱程長くなってしまうことがある。

 定着器のウォームアップは、定着器の温度をトナーを溶解できる200度近くまで上げる必要がある。この温度まで上げる技術に各社のノウハウが詰め込まれており、瞬時に高温にする技術や消費電力が少なく済む技術など各社によって違いがある。

 また、プリンタがウォームアップを開始してから最初の1枚が出力されるまでを「ファーストプリントアウト」(FPO)と呼ぶ。FPOにかかる時間が短い製品ほど、ウォームアップ時間も短い=高性能と考えることができる。つまりppm同様、FPOも重要なポイントになると覚えておこう。

 100枚単位など大量に刷る機会が多い部署ではppmを、毎回10枚未満など少量しか刷らない部署ではFPOをより重視すればいいだろう。

 どちらとも付かない場合などは、トータルの印刷時間を算出しよう。次ページから、その詳細を解説する。

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