できれば避けたい仕事を楽しくする方法【チュートリアル編】シゴトハッカーズ(2/2 ページ)

» 2008年11月21日 10時08分 公開
[大橋悦夫、佐々木正悟,ITmedia]
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 もちろん、このExcelのデータを使ってそのまま経理に提出できるような帳票を出力できれば一番なのですが、そこまでいくとスケールが大きくなり、乗り越えるべき障害も増えます。ですから、まずは「月末に悩む時間を減らす」というところから突き崩していくわけです。

チームに展開する

 さらに、経路情報が蓄積されるAccessのファイルを社内LAN上に置き、先のExcelシートをチームメンバーにも配布するようにしました。こうすることで、データを入力する人が増えますから、一人だけで使っているよりも早くデータが蓄積されますし、そのデータを活用することで恩恵を受ける人の数もまたたく間に増えることになります。その結果、チーム全体の効率も理論上はアップするわけです。

 ただ、実際には(マニアックすぎたということもあり)、このシートはさほど普及はしませんでした。とはいえ、まずは筆者自身の作業効率が上がったので、やり方を変えながら引き続き普及(布教)活動を続けることになりました。こういった活動は実に楽しいものです。言ってしまえば自己満足にすぎないのですが、一定のレベルを超えるまで続けることで、コップから水があふれるように、自己満足も臨界点を超えて、他己満足に切り替わるのです。

「やったらやっただけの見返り」を目指す

 今回ご紹介したような工夫は、一部はプログラミングスキルが要求されるものもありますが、その考え方自体は取り入れる余地のあるものだと考えています。つまり、次の3つの視点を取り入れることです。

  1. やったらやっただけ手間が減るようにする
  2. 思いついたことは何でもやってみる(やり方を変える、ツールを変えるなど)
  3. 自分一人だけでなく、チーム全体にもメリットが生まれる方法を考える

 パッケージソフトやASPサービスで、今回ご紹介したExcelシートと同等あるいはそれ以上の機能を有するものもあるでしょう。それでも、まずは自分でプロトタイプ(試作品)を作ってみることです。そうすることで、「やっぱり一から作るのは難しいんだな」と痛感できたり、「この部分だけは作れるかもしれない」といった可能性を見いだせたりできるでしょう。

 やったらやっただけの見返りが得られるわけです。それが改善の糧になりますし、何よりも楽しさの素でもあるのです。もし、目の前に苦手な仕事があるという方は、今回ご紹介した3つの視点でその仕事をとらえ直してみることをおすすめします。

関連キーワード

Excel | 通勤時間 | 考え方 | ASP | 帳票 | プログラミング


筆者:大橋悦夫

大橋
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1974年、東京生まれ。ブログ「シゴタノ!仕事を楽しくする研究日誌」主宰。学生時代よりビジネス書を読みあさり、システム手帳の使い方やスケジュール管理の方法、情報整理のノウハウなどの仕事術を実践を通して研究。その後、ソフトウェアエンジニア、テクニカルライター、専門学校講師などを経て、現在は仕事のスピードアップ・効率アップのためのセミナーや研修を手がける。デジタルハリウッド講師。著書に『「手帳ブログ」のススメ』『スピードハックス 仕事のスピードをいきなり3倍にする技術』『チームハックス 仕事のパフォーマンスを3倍に上げる技術』『そろそろ本気で継続力をモノにする!』『Life Hacks PRESS vol.2』『LIVE HACKS! 今を大切にして成果を5倍にする「時間畑の法則」』、近著に『成功ハックス』がある。

筆者:佐々木正悟

佐々木
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心理学ジャーナリスト。専門は認知心理学。1973年北海道生まれ。1997年獨協大学卒業後、ドコモサービスに派遣社員として入社。2001年アヴィラ大学心理学科に留学。同大学卒業後、2004年ネバダ州立大学リノ校・実験心理科博士課程に移籍。2005年に帰国。著書に、『スピードハックス』『チームハックス』のほか『ブレインハックス』『一瞬で「やる気」がでる脳のつくり方』『やる気ハックス』などがある。「シゴタノ!−仕事を楽しくする研究日誌」にて「心理ハック」を連載中。ブログ「ライフハックス心理学」主宰。


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