タスクリストの“特等席”は左上あなたの不安、見積もります

一元化したタスクリストには、言うまでもなくかなりたくさんのタスクが並んでいるもの。大事なタスクが紛れてしまわないようにするためには、タスクを表示する位置が重要なのです。

» 2009年05月28日 11時00分 公開
[佐々木正悟,Business Media 誠]

ビジネスパーソンの不安ポイント

 タスクを隠すことのメリットは理解できましたが、一元化したタスクリストには、言うまでもなくかなりたくさんのタスクが並んでいます。その中に、大事なタスクが紛れてしまわないか不安です。


 「脳に仕事をさせるには、タスクリストは隠したほうがいい」という前回の内容に続いての質問ですね。この質問にお答えするのは、基本的には簡単です。一番目立つ所、一般的にはタスクリストの一番左上に、大切なタスクが表示されるようにすればいいのです。

一番重要度の高いタスクを左上に表示する。シンプルなことですが、これが最も重要なポイントです

 したがって、このような不安を感じる人は、タスク管理ツールの選択基準として、以下の点に注意しなければなりません。

  • 簡単に並べ替えできる
  • 色を変えられる
  • フォントを選択できる

 一番目立つ左上に表示するために、並べ替えができなければならないのは、言うまでもありません。「優先順」で並べ替えられるのでも、もちろんいいのです。ただ、並べ替えるのが面倒なツールだというのではよくありません。


すべてのタスクの設定をいじる必要はなく、特に重要なタスクの優先順位だけを変更すればいいので、それほど面倒な作業ではありません

 また、「色を変えられる」とか「フォントを選択できる」というのは、いわばオプションです。そうした機能があったほうが、特定のタスクを目立たせられるので、「埋没する不安」を払拭できるのです。しかし、左上に位置づけられればそれだけで十分とも言えます。

 私自身は「Toodledo」というツールを使っていて、これはさまざまな角度から並べ替えられますが、とくに大事なタスクは優先順位をトップレベルに設定します。通常は優先順位はいじらないので、トップレベルのタスクは当然最上位に表示されるわけです。


「書類読みの習慣」と脳の「色覚」をうまく使う

 多くの人は、目の前に広がる空間のほぼ真ん中に注意を集中します。何か特定の、例えばキーボードなどに注意を集めると、キーボードが視覚の中心に変わります。これが横書きの画面などでは、一般的に左上に注意が移ります。例えばWebブラウザを使っていて新しいページを開いたとき、ふつうは視点を左上に持っていきます。

 これはもちろん、習慣によるものです。横書きの書類の多くは、左上から書き始められていますので、特別な理由がなければ、人は左上から読み出すのです。さらに、には「色覚」といって、色だけ認知する特別な領域があります。したがって、1ページの中に1文字だけ色が違う文字があると、すぐにその文字だけを見つけ出せます。

 以上を踏まえると、左上のタスクの色を変えておけば、黙っていてもそのタスクが目に入ってくるのです。

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筆者:佐々木正悟

 心理学ジャーナリスト。専門は認知心理学。1973年北海道生まれ。1997年獨協大学卒業後、ドコモサービスに派遣社員として入社。2001年アヴィラ大学心理学科に留学。同大学卒業後、2004年ネバダ州立大学リノ校・実験心理科博士課程に移籍。2005年に帰国。著書に、『スピードハックス』『チームハックス』のほか『ブレインハックス』、『一瞬で「やる気」がでる脳のつくり方』、『やる気ハックス』などがある。「シゴタノ!−仕事を楽しくする研究日誌」にて「心理ハック」を連載中。ブログ「ライフハックス心理学」主宰。


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