デジタルメモもアナログメモもそれぞれ一長一短。では、わたしが考える理想のメモツールとは――。
手書きのアナログメモにも、PCやスマートフォンを使ったデジタルメモにも、それぞれに一長一短がありますよね。
持ち歩いてメモを取れるデジタルツールとしては、ノートPCやポメラが一般的だと思いますが、メモといっても走り書き程度、1行で足りるようなものもありますよね。そんなときでも、佐々木さんはやはりiPhoneを使っているのですか?
簡単なメモの場合、わたしはRHODIAを使っています。ただし、iPhoneが使いたいと思うこともあります。そして、どちらもまだ理想どおりのツールとは言えません。状況によって使い分けているというのが現状です。
例を挙げると、RHODIAを使うのは特にお風呂上がりが多いのです。iPhoneのあるところまで行くひまもないようなときですね。風邪を引いてしまいますから。それに、iPhoneは濡らしたくありません。落としたくもありません。こんな風に気を遣わなければならない状況では、iPhoneはちょっと困ったツールです。
とはいえ、RHODIAが最善かというとそうでない場面も多いです。例えば「後でパンを作る」といったことを書き出す先としては、RHODIAよりiPhoneの方がずっといい。というのも、iPhoneにはアラーム機能があるからですね。RHODIAに書いても、読み返さなければそれっきり。食べるパンがないのに翌朝気づいてももう手遅れです。
わたしとしては、こうしたアナログ/デジタルメモそれぞれの欠点を補完するツールとして、安価なモノクロのデジタルカードが出てこないかと、期待しています。手描きか簡易な文字入力機能に加え、アラームが鳴らせるメモツールです。できれば太陽光などで稼働してくれると最高です。
例えば時刻だけ入力すると、その時間が来たら震えるというだけで、電車を乗り過ごさずにすみます。iPhoneでももちろん同じ事ができますが、これがタイマーのように安価であれば、けっこう色々な用途に使えそうです。電池切れの問題もあって「そんな瑣末(さまつ)なこと」にiPhoneを使いたくないというシーンも結構ありますし。
専門的な用語を使うなら、「展望記憶を補完する」ようなツールが欲しいのです。わたしはiPhoneを買ってからも、電卓も腕時計も使い続けています。これと同じで、iPhoneを使うのが大げさと感じられるようなところでは、電卓のようなちょっとしたデジタルツールが手軽でいいのです。
心理学ジャーナリスト。専門は認知心理学。1973年北海道生まれ。1997年獨協大学卒業後、ドコモサービスに派遣社員として入社。2001年アヴィラ大学心理学科に留学。同大学卒業後、2004年ネバダ州立大学リノ校・実験心理科博士課程に移籍。2005年に帰国。著書に、『スピードハックス』『チームハックス』のほか『ブレインハックス』、『一瞬で「やる気」がでる脳のつくり方』、『やる気ハックス』などがある。「シゴタノ!−仕事を楽しくする研究日誌」にて「心理ハック」を連載中。ブログ「ライフハックス心理学」主宰。
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