連載
» 2012年05月25日 17時17分 UPDATE

スマートデバイス導入のお悩み相談室:私物のiPhoneを仕事でも使いたい……どう会社を説得すればいい?

「普段使いなれたスマートフォンを、仕事でそのまま使いたい!」そう思ったことがある人も多いはず。今回のお悩みは、iPhoneを仕事で使いたいけれど会社から許可が下りていないというIT業界の30代男性から。

[回答者:早田麻子、文:上口翔子,Business Media 誠]

本連載「スマートデバイス導入のお悩み相談室」について

スマートフォンやタブレットは業務用途で見ても非常に便利な端末です。一方で、管理負荷の問題やセキュリティの不安があるのが悩ましいところ。本連載では、スマートデバイスの業務利用に関する悩みについて、複数社のスマートデバイス導入に携わってきた京セラコミュニケーションシステムの早田麻子(はやた・あさこ)事業部長に、アドバイスをもらいます。


 スマートフォンは便利なアプリが多く、中には無料でも業務にも役立つものがあります。「こんなに使い勝手がいい端末なんだから、仕事でそのまま使えれば……」そう思ったことがある人も多いはず。今回のお悩み相談は、会社で私物スマートフォンの利用が認められていない、IT業界技術職、受託開発をしている30代男性から。

今回のお悩み:会社の許可なしに私物のiPhoneを仕事に使ってはダメですか?

私物のiPhoneを業務に使っていたら上司に注意されました。DropboxやEvernote、Facebookなど、便利だし情報共有も早いし、業務効率も上がるはずなのに……。どうして認めてもらえないのでしょう?

早田さんの回答:原則NG。どうしてもと言うのなら提案書を作って賛同を得ては?

shk_hayata0202.jpg 京セラコミュニケーションシステムの早田麻子さん

 会社の許可なく私物端末を利用するのは、好ましくないと言わざるを得ません。とはいえ、何とか利用したいという質問者の気持ちも分かるので、解決策を少し考えてみましょう。

 まず、なぜ企業が私物端末を許可していないかという話ですが、参考として私達が日本企業のCIO(最高情報責任者)約50人を対象に行った「企業のスマートデバイス活用」に関する調査結果を紹介したいと思います。

 それによると、個人のスマートデバイスを業務で使うこと(BYOD:Bring Your Own Device)を自社企業で認めるかについて、28人が「認めない(企業内では会社支給のスマートフォン、タブレットPCを利用すべき)」。「認める(個人所有のスマートフォン、タブレットPCを積極的に活用すべきである)」もしくは「どちらでも構わない」がそれぞれ17人、6人でした。

 認めない理由は、やはり管理とセキュリティの問題。一方で、認めるという企業は会社側が端末を支給する負担が減るのと、使い慣れた私物端末を利用することによる業務の効率化に期待するといった意見が聞かれました。

shk_hayata0201.jpg 業種や規模の異なる企業のCIO約50人に聞いた、BYODについて(2011年京セラコミュニケーションシステム調査より)

 さて今回のお悩みへの回答ですが、業務内容が受託開発ということは、普段仕事で外に出る機会はほとんどないのですよね?

 私が勤めている京セラコミュニケーションシステムでも個人のスマートフォンの業務利用は原則として認められていませんが、社外にいることの多い社員だけでなく社内にいる人からも業務効率化の観点から「私物端末を活用したい」という声があります。

 また現場では「こういう使い方もできるじゃん」という発見もあります。そこで、いきなり「持ち込みたい」と提案するのではなく、直属の上司を説得したり、同僚にも共感を求めて仲間を増やしたりしているんです。もちろん、先ほど出たセキュリティや管理の問題で全ては認めてもらえませんが、現場からそうした提案をする意味はあると思います。

 質問者はIT業界の方なので、スマートフォンがどれだけ便利に使えるか、またどういうセキュリティ担保の方法があるかは、ある程度ご存じだと思います。「こうすれば安心して使える」というように自分でルールを作り、思い切って会社に相談してみてはいかがでしょうか?

 BYODに関して、現状ではまだ認めない企業の割合が多いですが、スマートフォンの普及具合や米国などの事例を見ていると、日本企業もいずれは無視できなくなるはず。先ほど紹介した調査でも、全体の33%に当たる17人がBYOD肯定派で、これは少ない数字ではないと思っています。業界動向のニュースなどを見ても依然BYODへの関心は高く、遅かれ早かれ、多かれ少なかれ、企業は個人端末の導入を前向きに検討してくるところが増えてくると感じています。ゆくゆくは個人のノートPCにしても、スマートフォンにしても会社のルールに沿ってうまく使っていく方向になる可能性もあります。

 また余談ですが、一般的にはIT業界の方がこうした動きに積極的な印象をお持ちかもしれません。でも実は知りすぎているからこそ、慎重だったりします。今BYODを導入している企業というのは、どちらかといえば業務の効率化を最優先として、思い切った策に出ているところが多いですね。質問者も「こうすれば業務が効率化する、企業にとっていいことがある」というプラス面の理由をうまく引き出し、提案してみてはいかがでしょうか?

早田麻子(はやた・あさこ)さん

 京セラコミュニケーションシステム(KCCS)ICT第1営業本部ビジネスイノベーション営業統括部事業部長。京都市出身。1994年、同志社女子大学学芸学部日本語日本文学科卒業。同年、山一證券入社。1996年、KCCS入社。1997年、情報通信営業部東京営業部のグループ長に赴任。2001年、首都圏営業1課課長。2004年、IPサービス事業本部 IPイノベーション営業部 部長に就任。2007年、東日本ICT 営業本部 東日本ビジネスイノベーション営業部 事業部長。2011年、組織変更に伴い現在の役職に至る。1女児の母。

 スマートデバイス導入に関しては、モバイル通信の普及当初からリモートアクセスサービス事業に携わり、その後MVNO事業の立ち上げに従事。最近は大手企業向けのスマートデバイス導入プロジェクトにもかかわり、その経験を基にスマートデバイス関連のセミナーで数多く講演。自身もモバイル環境を活用して積極的に仕事をこなす傍ら、母親としてのワークライフバランスを実践している。


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