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» 2012年12月26日 09時00分 UPDATE

田中淳子のあっぱれ上司!:部下に本音を言わせる簡単な方法 (1/2)

「部下が本音を言ってくれない。夢やビジョンを話してくれたらなあ」と感じている上司もいるだろう。では、どうすれば部下は本音を話してくれるのだろうか。ちょっとした工夫で、部下とのコミュニケーションを円滑にする方法をご紹介する。

[田中淳子,Business Media 誠]

編集部からお知らせ

 ITmedia エグゼクティブでの人気連載「田中淳子のあっぱれ上司!」が誠 Biz.IDにて再開します。悩める上司と部下の付き合い方を、企業の人材育成に携わって27年(!)の田中淳子さんが優しくにこやかに指南するこの連載、部下とのコミュニケーションに悩んでいる上司はもちろん、そうでない上司も必見です!


 仕事柄、管理職から新入社員まであらゆる層の人と親しく話す機会が多い。たいていの場合、部下は上司に多少の不満は持っているものだが、中でも「上司が話を聞いてくれない」というのはよく聞く。例えば「本当は○○の仕事に携わりたいんだけど、それを言うのははばかれて……。だから上司には、ボクが本当にやりたいことは伝わっていない。そこが不満」だと言う。

 ダメ元で言ってみればいいのでは? と聞いたところ「なんかこう、非常に言いづらいんです」とのこと。言うと怒られそうだからなのか。それとも聞く耳を持ってくれなさそうだからなのか。

 「いえ、別に怖いとか怒られそうとかそういうことではないんですが、なんとなく言ってはいけないような空気を感じてしまうんです」と話してくれた。

 言いたいこと、伝えたいことがあるけれど、本音で話せないというのだ。そのことを管理職の人たちに伝えると、こんな答えが返ってきた。

 「いや、聞いているんだけど、本音を言わないんだよね。例えば『○○は大丈夫? 困っていることがあればちゃんと言ってね』と尋ねるでしょ? そうすると『大丈夫です。困っていることがあれば相談します』としか言わないわけです。本人が大丈夫と言っている以上、子どもじゃないので『じゃあ、頑張って』としか言いようがないよね」

 「将来やってみたいことって何? と聞いても、ビジョンみたいなもの、話さないんだよね。モゴモゴして『今、目の前にあることをつつがなくこなしていくのが先決です』みたいなことを言って。夢とか希望とかなんで言わないんだろう? 持ってないのかな?」

 なるほど。上司は上司で聞く気持ちもあるし、質問しているようだ。でも部下は言いづらく、言えていない。このギャップはどこから来るのだろうか。そんなことを考えていたら、ある人にこう言われた。

 「それね、質問の順番が影響しているんじゃないですかね」。詳しく聞くと、「なるほど!」と言いたくなるような分析だった。

上司と部下の食い違い

 部下と会話をする際、夢やビジョンよりも仕事のことについてのほうが話しやすい。例えば「○○作業をするスピードがずいぶん速くなったね。とはいえ、もう中堅なんだし、××の知識とスキルもアップしてほしいなあ。そこをもっと頑張ろうよ」と言うようなフィードバックを与える。その上で「ところで、あなたはこの先、どんな仕事に取り組みたいの? ビジョンとか夢を聞かせてくれる?」と持ちかける。この順番が部下の口を閉ざしてしまうのではないかというのだ。

 部下はビジョンや夢を聞かれた直前の会話で、「××の知識とスキルをアップしてほしい」と言われたことが頭に残り、「将来何をしたい」を話すより、「まずは、今言われた××をしっかり身に付けなければいけないと思っています。そこを頑張ります」と言ってしまう。「××がまだまだだ」と言われた直後に、そのはるか上の何かをビジョンとして説明するのははばかられるというわけだ

 一方、上司の内心はこうである。部下には現状でのよい点と今後伸ばしてほしい点をきちんと伝えた。「それはそれ」。ここで一旦、上司の頭の中では話の流れが断ち切れている。だから「ところで」と区切り、「今後どんなことをしていきたいのか?」と虚心坦懐に尋ねているつもりなのだ。なのに部下は「目の前のことをまずはちゃんとやりたい」としか答えない。上司が聞きたいのはそういうことではなく、今後のことなのに、部下の中では会話の流れが断ち切れてはいないので、ここに食い違いが生じるというのである。

 ああ、なるほど。それは思いつかなかったけれど、確かにそういう面もあるだろうなあ、と深く納得してしまった。

 「そんな弱虫でどうする?」と言う声もあるかもしれないが、全ての人が負けん気が強く、どんな場合でも堂々と振る舞えるとは限らない。

 上司という立場にある人は、このあたりの理解が難しい。「夢だろうが遠い先のことであろうが、10年早いよと言われようが、言うべき時に言わないでどうするの? そんな弱腰で大丈夫なのか?」と思ってしまう。でも、どんな場面でも自分をきちんと前に打ち出せて来た人だからこそ、今、管理職というポジションにあるという面はきっとある。だから、本音を言えない部下の気持ちをなかなか分かってあげられないのかもしれない。

 上記の面談の話でいえば、順番を逆にすると本音がポロリとこぼれる可能性があるのではないだろうか。

 「将来、どんなことしてみたいの?」を先に聞く。そして「ところで、今はこういう状態だから、その将来やってみたいことに向かって、ここをこう頑張ってみようね」と現時点の仕事ぶりに対するフィードバックをする。そのほうが、部下は本音で話しやすいようにも思う。

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