また彼も、あまり話しかけると集中している人の作業を中断させることもあるため、だまって回遊することにした。気になる様子の人にだけ声をかけるようにした。
そうやって、回遊していくうちに「現場の人は、意外とITが分かっていない」「にもかかわらず、IT部門には質問しづらいらしい」「こちらから積極的にサポートすればすぐマスターしてくれるものだ」「この回遊によって新システムへの切り替えなども加速できるだろう」といったことが分かってきた。
自席に座っていたのでは分からないことはたくさんある。フットワークのいい人というのは、社内外の情報をよく拾い集めるものだ。それは自分のためでもあるけれど、関わる相手の仕事をいろいろな面からサポートができるというメリットもある。邪魔にならない程度の回遊というのは上の立場にいる人や誰かをサポートする役割にある人には有効なコミュニケーション方法だと思う。
グローバルナレッジネットワーク株式会社 人材教育コンサルタント/産業カウンセラー。
1986年上智大学文学部教育学科卒。日本ディジタル イクイップメントを経て、96年より現職。IT業界をはじめさまざまな業界の新入社員から管理職層まで延べ3万人以上の人材育成に携わり27年。2003年からは特に企業のOJT制度支援に注力している。日経BP社「日経ITプロフェッショナル」「日経SYSTEMS」「日経コンピュータ」「ITpro」などで、若手育成やコミュニケーションに関するコラムを約10年間連載。
- 著書「速効!SEのためのコミュニケーション実践塾」(日経BP社)、「はじめての後輩指導」(日本経団連出版)、「コミュニケーションのびっくり箱」(日経BPストア)など
- ブログ:「田中淳子の“大人の学び”支援隊!」
- Facebook/Twitterともに、TanakaLaJunko
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