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» 2013年05月21日 18時20分 UPDATE

フリーランスを目指す前に:フリーランスで働く本当の意味 (1/3)

フリーランスになることで得るもの。と同時に背負うリスクの現実を、自らもフリーランスとなった筆者が語る。

[三河賢文,Business Media 誠]

集中連載『フリーランスを目指す前に』について

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 本連載は2012年12月14日に発売した『フリーランスを目指す前に読む本』(三河賢文著、豊作プロジェクト刊)から一部抜粋しています。

 オフィスを持たずに、どこでも仕事ができる新しい働き方。会社員の中にも、外出先で空き時間にカフェなどから仕事をしていることがある。しかしこの働き方のほとんどは、いわゆるフリーランスワーカー達だ。近年は働き方が多様化しており、こうしたフリーランスが増えている。

 このような働き方が生まれた理由の1つは、やはりITの進化だろう。PCなどの電子機器やインターネットサービスが普及して、働くことに自由度が広がったのだ。もう1つは、社会環境の変化である。長引く不況に企業は苦しみ、そしてその企業に対して人々が不安不満を抱く。こうした心理的変化が、「会社を飛び出す」という選択肢につながっていくのである。

 しかし近年、どうも「フリーランス」「ノマド」という言葉だけが独り歩きしているように思える。こうした働き方をする人々に対して否定的な見方を示す人も増えているし、どうやら働き方に伴う“品格”ともいえるものが崩れてしまっているのではないだろうか。

 私自身そうした働き方を実践する身として、この働き方は月並みだが素晴らしいと思う。しかし万人にとってではなく、やはりメリットがあればデメリットもある。これから起業・独立あるいは副業などでノマドを目指す人には、こうした働き方の持つ「本質」について良く理解しておいてほしい。その上で、1つ働き方の選択肢として、「フリーランス」を目指すべきかを考えてもらいたい。


 リーマンショックや東日本大震災をはじめ、社会全体を揺るがす出来事がほんの数年で巻き起こった。これによって企業は経営そのものの在り方や方向性を見直さざるを得ない事態となり、このことは会社で働く人々にも影響を与えている。

 以前から、会社に対して社員が不満を持つことは、いわば普通のことだ。理想と現実の違いに苦しんだり、変化のない毎日に刺激を求めたり。企業は多くの人の集合体であり、また経営者や株主の決定によって動いていくものであるから、個人である社員との間にこうした不満が生まれるのは仕方ないこととも言えるだろう。

 しかし、それでも社員は会社で働き続ける。その理由を述べるなら「守られている」からだろう。会社員は働くことによって、給与を得られる。年数回の見直しで給与の増減はあるにしても、全く収入がなくなるなんてことは基本的にありえない。さらに言えば福利厚生という名の下で、企業はさまざまなオプションを与えてくれる。保養所の利用や特別休暇、出産祝い金、スポーツセンター利用など、会社によって内容は異なるが、これらは使い方次第で生活を豊かにしてくれるだろう。

 今でも給与はもらえるし、福利厚生だってある。会社員でなければ受けられない恩恵は多いだろう。だが社会の変化と共に、マイナスの変化を遂げてしまっている会社は少なくない。

 例えばリストラが行われたり、社内でやたらと「経費削減」がうたわれたりする。残業をなくす口実で残業代が出なくなったり、賞与が出なくなったりという話は決して珍しくないだろう。会社にいることで「守られて」いるものの、その力はもはやもろいものだ。いつ崩れるか分からないその状況に、人々はこれまでにない不満不安を抱き始めている。

 そうなると、自分たちだけがまるで苦境に立たされているかのようにさえ錯覚してしまう。時間を自由に使って伸び伸びと働くフリーランスワーカーなどは羨ましく見えるし、「なんで自分は」なんて悩んでしまう。その結果、一部の人々の中でこんな考えが頭の中をめぐり始めるのである。

 「このまま、自分は会社員で良いのだろうか」

 「自分でもフリーランスでやっていけるのではないか」

 「どうして自分は、こんなに苦労して働いているのだろう」

 中には副業を始めてみる人もいるし、一気に会社を辞めてフリーになってしまう人もいる。ただしいずれにしても必要なのが、「仕事をする場所」である。

「不況」で増えるフリーランス

 よほど資金に余裕がなければ、まずは自宅を仕事場にしようと考えるだろう。しかし1人暮らしなら1〜2部屋の自宅では気が散ってしまったり、家族のいる人でも仕事専用の部屋を持つことが難しかったりする。あるいは、家族との共有空間のため仕事に集中できないこともあるだろう。

 そこで選択肢として浮上するのが、「ノマドワーキング」(※)というわけだ。

(※)1つの場所にとどまらず良い環境を求めながら土地を転々として働くこと

 ノートPCを片手に自宅を出て、お気に入りのカフェなどで仕事をする。これなら、固定した仕事場がなくても仕事環境には困らないだろう。そのために必要な環境は、ITの進化によって整っているのだから。

 ちなみに私は独立してずっと自宅をオフィスにしているが、幸いにも1部屋を仕事用に割り当てられている。子どもたちがいる日は気が散ることもあるが、既に慣れたものだ。とはいえ外出の際にはノートPCやタブレットなんかを持ち出して、空き時間をカフェで過ごすことも多い。

 このように不況による会社員としての不安や不満が、フリーランスを生み出すきっかけとなっているのだ。飛び出すための環境があるからこそ、人々は思っているより簡単にフリーランスとしての一歩を踏み出してしまうのだ。

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