自分と相手の得を考える世界で通用する人がいつもやっていること(2/3 ページ)

» 2013年05月28日 11時00分 公開
[中野信子,Business Media 誠]

誰かの役に立つと脳は快感を覚える性質がある

『世界で活躍する脳科学者が教える! 世界で通用する人がいつもやっていること』(アスコム)

 繊細な若者たちが「震災うつ」などでバタバタと倒れてしまう中、70歳を超えたYさんの行動力とバイタリティには本当に目を見張るものがありました。Yさんは競争に勝ち、現在はことあるごとに仙台に向かって精力的に仕事をこなしています。どんなに大変な状況にあっても、どんなことでもチャンスに変えてしまう。彼こそ、そういう人物なのです。

 ではなぜ、Yさんはこんなバイタリティあふれる行動ができたのでしょうか? Yさんが、特別な人だからでしょうか?

 よくよく考えてみると、Yさんの行動はいつも「自分が得をしようと思ってやったことが、誰かの役に立つことにもなっている」というパターンになっていました。「自分の利益の追求」と「誰かが本当に必要としていることをやってあげること」が、Yさんの中ではまったく同じなのです。

 実は脳には、「社会的報酬」が得られるとドーパミンが大量に分泌されて快感を覚え、やる気が増大するという性質があります。人間の脳は金銭的な報酬と同じように、社会的報酬がある場合にも快感を覚えます。社会的報酬というのは、誰かから「あなたは素晴らしい!」「君のおかげで助けられた!」などと、褒められたり感謝されたりすることを指します。

 一説によれば、性的な快楽よりも社会的報酬による快感のほうがずっと上だとも言われています。人間が名誉ややりがいを重要視し、ときに金銭的報酬を省みずに行動してしまう傾向があるのは、脳がこのような性質を持つからなのです。

 「いつまで経っても意欲的で、若々しい」というのは、ここに秘密があったのです。つまり、やり方次第で「いつまで経っても意欲的で、若々しい『脳』」でいられるということです。

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