「ずっとこのままでいいのかなあ」――モヤモヤした気持ちに決着をつけるボクの不安が「働く力」に変わるとき(2/2 ページ)

» 2013年07月25日 10時30分 公開
[竹内義晴,Business Media 誠]
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「このままでいたら、何を失うか」を突き詰めて考えてみる

 もう1つ、モヤモヤ感を晴らしてくれる簡単な方法が「このままでいたら、何を失うか」を突き詰めて考えてみることです。

 例えば先ほどの「本当は技術者として働きたいのに、マネジメント的な仕事ばかりで悶々としている」であれば「このままでいたら、何を失うか」を繰り返し考えてみます。

 「技術者の仕事ができない」

  • (このままでいたら、何を失うか)→「やりたい仕事ができない」
  • (やりたい仕事ができなければ、何を失うか)→「仕事が楽しくない」
  • (仕事が楽しくなければ、何を失うか)→「やりがいを得られない」
  • (やりがいを得られなければ、何を失うか)→「人生がつまらない」

 のようになるでしょう。このように突き詰めていくと「このままじゃイヤだな」という感覚が芽生えてきます。

 また、書き出している途中で「そもそも、技術者の仕事の何に楽しいと感じるんだろう?」「ところで、やりがいって何だろう?」「じゃあ、楽しい人生って何だろう?」のように、「このままでいたら、何を失うか」を考えると、その反動で「じゃあ、自分にとって本当に大切なのは何なのか」を考えるきっかけにもなります。

「もうイヤだ!」まで達した先に見えてくるもの

 私の知人に、エニーケアの宮原翔さんという人がいます。宮原さんは現在、新潟県新発田市で訪問型の鍼灸マッサージ業を営んでいます。27歳で起業するまで普通のサラリーマンでしたが「ずっとこのままでいいのかなあ」と悶々とする時間がしばらく続いたそうです。けれども、起業を決意できたのは「このままではもうイヤだ!」という感覚だったそうです。今では、数店舗まで事業を広げ、産後の女性をケアする事業も展開しています。

 実は私が起業に踏み切らせたのも、ストレスフルな毎日に「もうイヤだ!」という感覚を抱いたことでした。今でこそ「仕事をもっと楽しくしたい」と思って事業をやっていますが、そのきっかけは「もうイヤだ!」というネガティブな感覚だったのです。今では、あの時に「ずっとこのままでいいのかなあ」と思えたこと、「もうイヤだ!」と思えたことがよかったなと思っています。


 最近は、「前向きに考えよう」「意識を高く持とう」などといったポジティブ系の情報がたくさんあります。逆に「ずっとこのままでいいのかなあ」というようなネガティブな気持ちを抱くのは良くないことだ、抱いてはいけないというイメージもあります。

 前向きに考えるのは大切なことですし、意識を高く持つこともすばらしいことです。しかし、それで一時的に前向きになれることもありますが、奥底にある「ずっとこのままでいいのかなあ」という感覚に決着をつけずに前向きになろうとしても、なかなかその先にはいけず、同じところをグルグル回ってしまうのも事実でしょう。

 「ずっとこのままでいいのかなあ」という気持ちを抱いていたなら、一度、頭の中にぼんやりとある気持ちを外に出して、突き詰めて考えてみてください。起業する、転職する、今の仕事を続けるなど、いろんな選択肢があるでしょう。何を選択したとしても、気持ちの中で決着をつけると迷いが減ります。てんびんをどちらかに大きく動かしてみることでモヤモヤした気持ちが整理できるでしょう。

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