空気を読みすぎる日本人の議論がチームを弱くする?――最強チームの作り方(後編)ベストチーム・オブ・ザ・イヤー(1/2 ページ)

アイデアを出し合うことを恐れない――そんな空気作りをしていけば、現実を変えるための日本式議論をしていけるという、その具体的な方法とは?

» 2014年02月25日 11時00分 公開
[ベストチーム・オブ・ザ・イヤー]

「ベストチーム・オブ・ザ・イヤー」について

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チームで仕事やプロジェクトを進める際の考え方やヒントを探る本記事「最強チームの作り方」は、「ベストチーム・オブ・ザ・イヤー」より転載、編集しています。

ベストチーム・オブ・ザ・イヤーは、その年に最もチームワークを発揮し、顕著な実績を残したチームを毎年表彰するアワードです。サイトでは日本の組織が持つべき「チームワーク」について、精神論ではなく、組織とメンバーがともに成長できる論理的な方法を考え、提案しています。

「リーダーになりたくないと言うことは、仕事をしたくないということと同じ」「誰もがスティーブ・ジョブズのようなカリスマリーダーを目指さなくてもいい」――。こう話すのは、ベストチーム・オブ・ザ・イヤー実行委員会 委員長に就任した 明治大学文学部 齋藤孝教授。若手ビジネスパーソンが抱えるチーム作りの悩みを解消してもらいます。


意見はダメ、現実を変えるアイデアを1個出そうよ

―― 「新しい意味や価値を生み出す」チームに脱皮するために意識すべきことは?

齋藤孝氏: 僕は3,4人のチームを組んだら、「現実を変えるアイデアを1個出して」と必ず言い、それを課題にしています。現実を変えない意見を言うのはほとんど時間の無駄ですから、「意見だけをだらだらとしゃべったらダメだよ」と伝えます。僕は、世の中は「現実を変えること」の1点で動いていると思うんです。

―― アイデアが出しにくいと考える人も多いと思います。

齋藤氏: それは失敗を恐れているからかもしれません。誰かのアイデアをチームで遂行して失敗した時に、アイデアを出した人は責任を取らなくてもいいんですよ。「誰のアイデアか」ではなく「それを採用したチームの失敗」だと考えるようにする。シュートをした人だけを責めてはいけませんし、逆にチームの誰もがゴールを狙っていい。

 失敗を恐れて前に進めない場合は、「失敗」という言葉は使わないようにしてみましょう。僕はよく「ナイストライ!」という言葉をかけて、どんどんアイデアを実行していくようにしています。

 失敗しても「これはナイストライだったね」と拍手をして、「次は二度とやらないようにしよう」とすればいい。僕もありますよ、「この書籍のタイトルはナイストライすぎて、もう二度とやらないようにしようね」なんてこと(笑)。ナイストライを、チームみんなで一緒に笑い合って、次に生かせばいい。

 笑うことも大事ですよ。「やっちゃったね」「逆効果だったね」なんて笑いながら、失敗に対してチームで機敏に修正すればいいだけですから。失敗が問題になるのは、修正力がない場合です。修正する勇気とスピードさえあれば、過度の失敗は恐れなくてもいいんですね。

Photo ベストチーム・オブ・ザ・イヤー実行委員会 委員長を務める明治大学文学部 齋藤孝教授

ネガティブな意見を出しても、「しゅんとするか」「むっとするか」だけ

―― 「アイデアを出す」のは、チームで議論をする場合が多いですよね。奥山清行さんの書籍『100年の価値をデザインする』では、「日本人は気持ちを読もうとするスキルは高いが、一緒にチームとして働くスキルは低い」といったことが言及されていました。チームワークを生み出す議論をするには、どうすれば良いでしょうか。

齋藤氏: 僕も奥山清行さんの本を読んだことがあります。奥山さんはヨーロッパで長く仕事をされていて、訪れたイタリアやドイツのどこの職場に行っても、議論の場があると。対して、日本の議論は上下関係や役職を気にするなど「空気を読みすぎる空気」があり、生産性を下げている――。そんな印象をお持ちだったようです。

 私は「日本式の議論」の形が必要だと思っています。役職を気にせずに、メンバー同士がざっくばらんに言い合える空気作りをすることです。日本人の空気を読む力を踏まえながら、意見を率直に言い合えるようにするのが良いですね。

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