連載
» 2014年06月26日 11時00分 UPDATE

マッキンゼー流入社1年目 ロジカルシンキングの教科書:重箱のおせちを正月以外に売りなさい

「おせち料理は伝統的な和食である」「長距離バスは疲れる」――それらは思い込みかもしれません。クリティカルに考える人は、思考の枠を取り払うことで、新しい発想を生み出すのです。

[大嶋祥誉,Business Media 誠]

連載「マッキンゼー流入社1年目 ロジカルシンキングの教科書」について

『マッキンゼー流入社1年目 ロジカルシンキングの教科書』

本連載は、大嶋祥誉著・ソフトバンククリエイティブ刊『マッキンゼー流入社1年目 ロジカルシンキングの教科書』から編集転載しています。

世界最強のコンサルティングファームと呼ばれるマッキンゼーの新入社員は、ロジカルシンキングを叩きこまれます。「直感」や「いい感じ」に頼らず、クリティカルに考え(深い洞察による自分の考えを持ち)、ロジカルに展開する(分かりやすく伝える)ことがなぜクリエイティブであるといえるのでしょうか。

本連載では、ロジカルに展開する前の段階――多くの人があまり掘り下げることなく当たり前のような答えを出してしまう「思考」を見直し、クリティカルに考える(考えを深くする)ための3つの基本姿勢と7つの習慣について掲載します。

このほかにも本書では、
・論理思考は難しくない! ロジシンの基礎講義
・ロジカルに展開する わかりやすく伝える方法
・クリティカルに発想する それ、いいね
・クリシン+ロジシンで独創的な飛躍をする
方法について例を交えながら説明しています。


思考パターンの枠を意識する

 ユネスコの無形文化遺産に登録された「和食」が注目されています。

 見た目の美しさと繊細な心配り、食材の多様さ、優れた栄養バランス、年中行事との深いつながりなど、世代を超えて日本の文化と一体となった「食の文化性」が世界的にも評価されているわけです。

おせち料理

 中でも、お正月に欠かせない、重箱に美しく詰め合わされた「おせち料理」は、まさに和食の象徴的な存在といえるかもしれません。

 私たちは、お正月に食べる和食といえば、重箱の「おせち料理」を思い浮かべます。そして、これが日本のお正月の伝統的なあり方だと思っている人も多いでしょう。

 ところが、私たちの思考の中に無意識に存在している「お正月=重箱のおせち料理=伝統」という思考パターンも、実は「本当はそうではない」かもしれないのです。

 現在の私たちが「おせち料理」と聞いて思い浮かべる、あの華やかに彩られた「おせちの重箱」は、実は高度成長期の1960年代に当時、主婦層に大きな影響力を持っていた婦人雑誌やテレビの料理番組で“紹介”されて一般家庭にも広まったともいわれています。

 それまでは、お正月といえば「お雑煮」は欠かせないものの、野菜の煮しめを作る程度で、現在のような肉や魚、エビやかまぼこ、黒豆などの凝った料理が詰まった「おせちの重箱」というのは、それほど一般的ではなかったといいます。

 ちょうど従来の大家族を主体とした家族の生活様式が、都市化によって変化し、核家族と呼ばれる「新しい家族」が誕生したタイミングで、新しいおせち料理が必要とされたのかもしれません。

 逆に考えれば、「おせち料理」という食文化があったところに、ゼロ発想から「新しい現代風おせち料理」の形として、従来の思考パターンの枠を壊して作られたものが、今、私たちが食べている「重箱のおせち料理」かもしれないわけです。

 それを、私たちは、日本のお正月の伝統的な和食と考えてしまっている可能性もあるのです。

 ここでクリティカルな思考からいえることは、日本の伝統文化に属していると思われる重箱のおせち料理であっても、「本当にそうなの?」という思考を働かせることで、見えなかった視点や見方が発見できるということです。

 ただし、クリティカルな思考を働かせようとするときに邪魔するものがあります。それが「思考の枠」です。そもそも、私たちは意識的、無意識的に日常を生きる中で、何らかの思考の枠の中に自分を置いています。

 お正月には重箱のおせち料理を食べるのが日本の伝統というのも、ひとつの思考の枠ですし、例えば長距離バスの移動は飛行機より疲れるというのも思考の枠です。

 自分の中に決まった思考の枠があれば、いちいち思考を巡らせて判断する必要もないのでラクですが、逆にそのために「思考の枠」の中にとどまってしまい、新しい発想ができなくなっていることも多いので、注意した方がいいでしょう。

私たちに「思考の枠」をもたらすもの 私たちに「思考の枠」をもたらすもの

 ちなみに、最近では長距離バスでも快適性を重視して、飛行機のビジネスクラスやファーストクラスのような感覚でゆったり移動できるものも増えています。

 「長距離バスは疲れるもの」という思考の枠を抜け出して新しい価値提案をすることで、時間効率よりも快適さに価値を見出すユーザーに受け入れられているようです。

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