紙のノートに“チェックするだけ”で爆速クラウド保存――「CamiApp S」がすさまじいこれぞデジアナノートの進化形

スマホ連携ノートといえば、ノートに手書きして、スマホカメラでパチリというものが多かったが、カメラ不要で手書きメモを簡単にデジタル化するツールがコクヨS&Tから発表された。

» 2014年08月22日 22時00分 公開
[渡辺まりか,Business Media 誠]
コクヨS&T・森川卓也社長 コクヨS&T代表取締役社長・森川卓也氏。CamiApp Sノートブックタイプを手に

 取引先で行なった打ち合わせの内容を、あなたはどうやって上司や部下、またチームメンバーと共有しているだろうか。紙のノートに記録した内容を会社に戻ってからまとめ直してPCで入力し、メールで送る場合もあれば、ノートをスマホのカメラで撮ってメールに添付して送る場合もあるだろう。

 どちらの方法も、時間や手間がかかって面倒なもの。もっと簡単に素早く手書きのメモ内容を共有できる方法はないものか――。こんなビジネスパーソンの要望に応える形で登場したのがコクヨの「CamiApp S(キャミアップ エス)」だ。

 この製品の面白いところは、専用のノートとペンを使って書いた文字や図版などの情報が、“ノートのすみのボックスにチェックを入れるだけで”ネットを経由してEvernoteやDropbox、Google ドライブなどのクラウドストレージに保存される点。スマホのカメラでノートを撮影したりすることなく、また、会社に帰るまで作業を止めたりすることなく、“メモを書いたその場で”上司や同僚と打ち合わせ情報を共有できるようになる。

 ノートに書いた文字や図版のデータは、専用アプリ「CamiApp」をインストールしたスマホにBluetoothで転送され、スマホ経由でクラウドストレージに保存される。

 ノートのすみにある「SAVEボックス」にチェックを入れればスマホに手書きメモを送信。スマホ経由で設定したクラウドストレージに保存される

 スマホアプリに送られた段階で、手書きの文字が自動でテキスト化されるのも便利なところ。手書きの画像データのままでは保存日時くらいでしか検索できないが、テキスト化されればメモの内容をキーワードとして検索できる。これなら過去の情報を探すときに役立つだろう。

 手書きの文字は、楷書ではっきり書けば、そこそこ高い精度でテキスト化される。ちなみに記者の書いた文字では82%ほどの確率で正しく認識した。

手書きメモをカメラ不要でスマホに取り込める仕組み

ユーザーがコイルを内蔵した専用ペンで書いていくと、ノートカバーはその動きをセンサーで認識し記憶。専用ノート右下に印刷されている「SAVEボックス」にチェックを入れると、ノートカバーからBluetoothでペアリングしたスマホに、筆記データが送信される。


ノートの「取引先別」「案件別」仕分けも自動で――「アクションマーカー」

 ノートに書いた打ち合わせの情報は、クラウドストレージ上で「取引先別」「案件別」に仕分けて保存・共有できればなお便利だ。CamiApp Sには「アクションマーカー」と呼ばれる機能が用意され、ノートの端の専用エリアに数字を書き込むと、仕分けのタグを付けた状態でクラウドストレージに保存できる。

 例えば「1」に「A社」「Evernote」、「2」に「B社」「Evernote」と割り当てておけば、ノートに打ち合わせの内容を書き込んだ後、アクションマーカー用のスペースにそれぞれの数字を入力してチェックを入れるだけで、Evernote上にA社、B社のタグを付けた状態でノートが保存される。後から取引先名で検索したり、アップロードしたノートを仕分けたりする必要がなく、素早く商談データを見つけられるのは便利だ。

 書き込める数字は1〜7までで何も記入しない「空白」と合わせて8通りの“アクション”を設定できる。しかも、書き込んだ1つの数字に対して「Evernoteの商談1と、Google ドライブの進行中1と、Yahoo!ボックスの営業課Cチームにアップロード」など複数のアクションを設定可能。1つの案件が複数のチームと関連しているときには、こんなふうに使うと便利だろう。

 現在のところアップロード可能なクラウドサービスはEvernoteやDropboxのほかに、SmartBiz+、SugarSync、Googleアカウント、OneDrive、Yahoo!ボックスなど。なおメール送信は、転送後に「共有」-「その他のアプリ」から行える。

 アクションマーカー機能を使えば、転送と同時に設定したクラウドサービスへのアップロードも可能

同一ページに追記も可能――合成機能

 「ノートに少ししか書いていないのに保存してしまって、余白部分がもったいない」「ページに追加情報を書き込んだが、保存はどうするのか」――CamiApp Sではそうした心配も無用。追記した部分だけを保存したり、追記部分を保存済みノートと合成する機能もあるからだ。

 ノートに記入してSAVEボックスにチェックを入れると、それまで書いたものはスマホに転送される。その後、同一ページの余白部分(または書き込み済み部分)に追記してチェックを入れれば、先の転送後に書き始めたところからの筆記データが転送され、スマホに保存される。

 これらはそれぞれ別のファイルとして保存されるが、「合成」機能を使えば同一ページに記録したものを全てまとめることも可能だ。

 例えば、元となる図に、各人がコメントを入れるごとに保存しておけば、「元となる図+スタッフAの意見」「元となる図+スタッフBの意見」といった具合に組み合わせて画像保存することもできるし、同一ページに関連したファイルをまとめて合成して、最終的に全員の意見を書き込んだデータとして共有するといった使い方もできる。

次々に記入してはチェックしてSAVE(保存)した
このように別々に保存される。OCR認識されたテキストも同様に別々のファイルに保存された
左:ファイルを選択して「…」をタップして表示されたメニューから「合成」を選択。中:合成したいファイルを選択後、プレビューをタップ。右:表示されたプレビューを確認して保存ボタンをタップすればノート画像が合成され、専用ノートに書いたメモの最終版と同じものを保存できる

2種類のノートカバー、3種類の専用ノート

 専用ノートは罫線タイプと方眼タイプのほか、打ち合わせの日時をGoogle カレンダーに、メモの内容をGoogle ドライブに保存できる「打ち合わせ記録タイプ」が用意される。

 データ送信に使うノートカバー本体は、見開きノートが使えるノートブックタイプと、片手で持ちながら書き込みのしやすいメモパッドタイプの2種類から選べる。

 iPhone、iPad、Androidスマホとタブレットに対応しているが、OSによってBluetoothの通信規格が異なるため、各OS向けに、ノートブックタイプ、メモパッドタイプにそれぞれ2種、合計4種用意されている。違うOSに対応したものを購入してしまわないよう注意が必要だ。

左:メモパッドタイプ(価格はオープンプライス:市場予想価格1万6000円)。右:ノートパッドタイプ(価格はオープンプライス:市場予想価格2万円)

 コクヨでは今後も、業務用途の専用ノートを増やしていく予定。日報などのクラウドサービスとの連携や、企業ごとのノートのカスタマイズにも対応していく計画だ。

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