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» 2014年08月26日 08時30分 UPDATE

30代からの「次の働き方」:個別化と多様化の時代に必要な「太くて柔軟な軸」

私たちの働き方は多様になっており、またその多様な働き方を受け入れるために企業も変化しつつあります。では、これからはより簡単に働ける時代になるのでしょうか。

[入江崇介,Business Media 誠]

連載:30代からの「次の働き方」

約15年後の2030年、日本企業を取り巻く環境は、どのように変化しているでしょうか。多くのビジネスパーソンは、先が見えない社会環境の中で、漠然とした不安を抱えながら働いています。

「もし定年まで働くことが前提でなくなったら」「1社だけに属することが当たり前ではなくなったら」――本連載では、近未来である「2030年」に焦点を当て、予測される新たな働き方を提案します。


 私たちの働き方は徐々に、しかし確実に変わっています。そして、小さな変化が積み重なり、気がつけば大きな変化となります。本連載では、これから16年後の2030年の働き方を予測し、「仕事」に対する新しい意識について紹介してきました。最終回となる今回は、私たちの「2030年に向けた働き方」について考えていきます。

働き方の「個別化」と「多様化」が進む

 2030年に向けて「国内人口減少」「少子高齢化」「IT化・機械化」「グローバル化」などの変化の中、私たちの働き方はすでに変化しつつあります。

 私たちのこれからの働き方として「『時間』『組織』『場所』を自由に選ぶ」「会社や日本にとらわれず、日常の仕事から一歩踏み出す」ということを取り上げてきました。改めて、これからの私たちの働き方のキーワードを確認してみましょう。

より高い年齢まで働く ・厚生年金支給開始年齢である65歳、もしくはそれより高い年齢まで働く
より時間を柔軟に使う ・仕事以外の生活との兼ね合いで、1日の時間を柔軟に使う
・常に仕事をし続けるわけではなく、「働く期間」と学びなどのために「働かない期間」が入り交ざる
より多様な場所で働く ・「オフィス」「都心」「日本」などの場所に縛られず、さまざまな場所で働く
より多くの場所に所属する ・兼業や社会活動など、一度に複数の顔を持つ
・転職がより多くなり、複数の会社を経験する
・産業構造の変化などにより、複数の仕事を経験する

 「国内人口減少」「少子高齢化」という社会の変化を前提とすると、今後年金の支給開始年齢が上がる、もしくは支給額が減るという可能性は否定できません。そのような環境下では、「より高い年齢まで働く」ということは生活のために避けられないこととなります。しかし、「1つの会社に入って、会社のシステムに従い、定年まで勤め上げる」という終身雇用型の働き方は、現在既に始まりつつある環境変化を前提とした場合、今後ますます少なくなると考えられます。

 そのような中、「長い期間働く」ためには、働くことに対するモチベーションを保つこと、その時々の生活環境によって働く時間や場所の調整をすること、さらには働く機会を得ること、そしてそのための働く力を磨いていくことが必要になります。

その結果、私たちの働き方は、より「個別化」し、「多様化」していくと考えられます。では、個人の働き方が変化することによって、組織のあり様はどのように変化するのでしょうか。

「個別化」と「多様化」の中、組織の役割も変化する

 「同じ企業に所属する人が、同じ場所で、同じ時間を働く」というかつてのあり方から、「違う企業に所属する人が、違う場所で、異なる時間に働く」というあり方に変化することによって、一体企業には何が求められるのでしょうか?

 組織の定義の1つに「共通の目標を持つ人々が、コミュニケーションをとりながら、協働をしていること」というものがあります。しかし、より多様な人々が、多様な働き方をするこれからは、協働やその土台となるコミュニケーションが現在よりも難しくなっていきます。その結果、今まで以上に共に働くことの意味、すなわち「共通の目標」が大切になると考えられます。

 もう1つ、これからの組織のあり方として目を向けたいのは、管理職/マネジャーの役割です。これまでは「上司−部下」という言葉に代表されるように、組織、あるいは管理者側に権限があることを前提としたマネジメントが行われてきました。しかし、サービス業化が進んだり、技術革新のスピードが速まったりする中、今まで以上に現場の重要度が増しています。また、組織の枠を越えた協働も増えています。

 その結果、権限や権威に頼った管理/マネジメントはますます通用しなくなっていきます。そして、“マネジャー”という役割を担う人々には、集団で成果をあげることに対するプロフェッショナリティが今まで以上に求められると考えられます。

 例えば、最近重要視されている企業の壁を超えた協働によるオープンイノベーションの取り組みで、特に国境を越えるプロジェクトでは、このような状況が顕著に現れるといえます。

 このように、個人の働き方が変わることとあわせて、組織には「『共通の目標』のもと『集団で成果をあげる』」という役割が、今まで以上に求められていくこととなります。それに加えて「個別化」し「多様化」する個人の働き方を受け入れる柔軟さも、今まで以上に求められると考えられます。

よりよい選択のための、柔軟な「軸」を磨く

 私たちの働き方は多様になっており、またその多様な働き方を受け入れるために企業も変化しつつあります。では、私たちにとって、これからはより簡単に働ける時代になるのでしょうか。

 実際には、「不確実さ」が高まる中、「多様な働き方」を選択していくことは、私たちにとってより「複雑さ」が高まるということです。もちろん、自分にあった前例やロールモデルの数も減っていくと考えられます。そう考えると、私たちにとって、自己選択を続け、その中で働く場を持ち続けることは、大きなチャレンジになります。

 「自分で決めてください」「自分で選んでください」と言われて、自信を持って物事を決定/選択できる人は、あまり多くないかもしれません。しかし、これから働き方が、ますます「個別化」「多様化」していく中、私たちにとって自己選択の機会は今まで以上に増えていくと考えられます。

 もちろん働き方だけでなく、働く目的、所属する場についても、私たちは自己選択をし続けなくてはなりません。このような選択の拠り所となる「軸」を多様な経験の中で磨いていくことがこれからの私たちには求められます。

 ただし、このような自分の軸をあまりに固定的にとらえすぎることは、変化の激しいこれからを前提とした場合、必ずしも得策ではないともいえます。自分の軸をあまり狭くとらえすぎない、あるいは環境変化に応じて変化させる、そのような太くて柔軟な軸を持つことが必要なのかもしれません。

著者プロフィール:入江崇介

入江崇介

株式会社リクルートマネジメントソリューションズ 組織行動研究所 主任研究員/ 2002年東京大学大学院総合文化研究科広域科学専攻にて修士課程(学術)修了後、株式会社人事測定研究所入社。アセスメント、トレーニング、組織開発の商品開発・研究に携わり、現在はマネジメント、リーダーシップ等に関する研究や実態調査に従事する。


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