頭を切り替えて提案へ向かえ「考える」力をつくる30のルール

企画のためにいろいろなところから熱心に情報収集をする。しかし、情報収集にばかり執心してしまうと、いつまでたっても企画書はできない。情報を整理し、捨てるものは捨てる――。脳を“ギアチェンジ”することが大事なのだ。

» 2014年09月03日 11時00分 公開
[長野真一,Business Media 誠]

集中連載「「考える」力をつくる30のルール」について

本連載は、長野真一著、書籍『「考える」力をつくる30のルール』(アスコム)から一部抜粋、編集しています。

少子高齢化に年金制度の崩壊、いじめ、災害――。問題が山積みの現在の日本、私たちはこの困難の時代に生き延びなくてはなりません。

各界で活躍する一流の講師たちが、東北の未来を担う若者たちに「生きる力、考えるヒント」を授けるNHKのEテレ番組「東北発☆未来塾」。そのなかで、講師たちが語った珠玉のひと言が「ゴールデンルール」です。

 「コンセプトは机の上で考えるな。日常に落ちている」(箭内道彦)
 「人の意見をまずは肯定しよう」(山崎亮)
 「どこでも使える文言に、人をひきつける力はない」(星野佳路)

これからを生き抜くために、何を考え、何をすべきか。本書では、番組内で紹介した自ら未来を切り拓いてきた人たちの30ゴールデンルールをまとめました。アイデアを育て、人とつながり、困難に打ち勝つ――。そうした力をつけて生きるヒントをつかんでください。


情報収集に執心すると、企画脳にギアチェンジできない

 企画のための情報収集がある程度進むと、どこかで頭を切り替えて企画書としてまとめる作業に入る。それがなければ、いつまでたっても企画は完成しない。

 これまで集めた情報を整理し、捨てるものは思い切って捨てる。これまでの情報収集モードを切り替え、企画をつくる“企画脳”にギアチェンジするのだ。

 企画を立てようとする多くの社会人が、このギアチェンジがうまくできずに苦労する。

 アイデアを温め、さまざまな課題を検討し、さらに現地取材でいろいろな情報を集める――。よい企画を作るには、確かにこうしたステップを踏まなくてはならない。十分な取材と検討があって、深みと現実味のある企画書が書ける。

 その一方で、情報収集と検討はやり始めるとキリがない。情報は無数にあるし、課題も尽きることはない。執心しすぎると、なかなか企画を書く頭に切り変わらない。陥りがちな間違いだ。

取材成果へのこだわりを捨てる

企画書に必要なアウトプットは、あくまで「企画」であり、「取材成果」ではない

 企画書は、情報収集の成果を羅列するだけでも、課題を検討した結果を並べるだけでもダメなのだ。

(写真と本文は関係ありません)

 ある程度の情報収集と検討を終えたら、一度それらをばっさり忘れるくらいの気持ちで頭を切り替え、企画の作成に入る。

 いったんギアチェンジしたら、集めた情報へのこだわりや愛情よりも、ターゲット層のニーズやコスト、スケジュールなど、「企画を成り立たせ成功に導くために何が必要か」という点に頭を使う。

 それまで考えてきたプロセスや苦労してようやく見つけた新しい情報などが、頭の中にこびりついて抜け出せないことがよくあるが、企画は取材成果の発表の場ではない。取材成果は、あくまで企画のための材料であると心得よう。

企画は「成功させる」ために作成するもの

 商品であれば、ターゲットのニーズに合った売れるものを作る。イベントなら大勢の来場者を呼びこみ、満足してもらうために実施する。それを生み出すのが、“企画”である。

 企画書提出の締め切りから逆算し、ある段階にいたったら、取材成果から距離を置く。そこで得た情報を客観的に眺め、どのように料理したら成功する企画が生み出せるかに頭をシフトする。

 このギアチェンジがうまくいかないと、企画が単なる発表の場に終わってしまうことになる。

著者プロフィール:

長野真一(ながの・しんいち)

1989年、NHK入局。初任は京都放送局。過去の主な担当番組「堂々日本史」「その時歴史が動いた」「英語でしゃべらナイト」「リトル・チャロシリーズ」「トラッドジャパン」など。

震災直後に、東日本大震災プロジェクトの専任となり、2年間被災地支援の番組やイベントなどを実施する。「東北発☆未来塾」や「復興支援ソング・花は咲く」のプロデュース、「きらり東北の秋」や「ただいま東北」のキャンペーンなどを担当。


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