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» 2014年10月09日 08時00分 UPDATE

そのひとことを言う前に:部下の“放置プレイ”が一番マズい――「コミュニケーション飢餓」の恐怖 (1/2)

相手とのコミュニケーションでミスをしてしまったらどうしよう……。そう思って、部下や同僚とどう接していいか分からなくなった経験はありませんか? しかし、コミュニケーション不足も大きな「失敗」。もっと大変な状況に陥る可能性もあります。

[岩淺こまき,Business Media 誠]

連載「そのひとことを言う前に」

 職場で感じるストレスの原因は、うまくコミュニケーションがとれないことによるものが多いようです。本連載では、伝え方や接し方、聴き方に至るまで職場でよくあるエピソードをもとに、仕事や物事がより円滑に進むようなコミュニケーションや考え方のヒントをご紹介します。言葉を受ける側の立場や気持ちを理解し、自分が発する言葉について見直してみてはいかがでしょう。


 職場でのコミュニケーションは大切――これに異を唱える人はいないでしょう。

 コミュニケーションのミスによる影響は大きいものです。とはいえ、ミスを恐れてコミュニケーションが希薄になるのもよくありません。相手とのコミュニケーションで失敗したらどうしよう……。そう思って、部下や同僚とどう接していいか分からなくなった経験はありませんか? しかし、その恐怖心から“部下を放置”してしまうと、逆に取り返しのつかない失敗を引き起こす恐れがあるのです。

 研修を通じて、そんな失敗エピソードを聞いたことがあります。Aさん(男性)は30代後半のマネージャー。直属の部下が4人いますが、そのうちのBさん(30代女性の部下)が、突然退職を申し出たのです。Aさんにとっては、まさに“寝耳に水”の出来事でした。

 Bさんは「同僚として認めてもらえず辛い、チームにこれ以上いたくない」ことが辞めたい理由だと訴えますが、そのとき、Aさんは彼女が何を不満に思っているか、まったく理解できなかったそうです。

Aさん: 同僚として認めてもらってないって……、もちろん認めてるよ。何でそう思ったの?

Bさん: 認めて頂けているとは思えません。

Aさん: 認めてるよ! 給与だって上がってるでしょ? 評価してるから上がるわけでしょ。

Bさん: 成果を出したので、給与は上がるのが普通だと思います。

Aさん: それに週1回、チームミーティングで何か話したいことがないか確認してるけど、いつも“ない”って言ってたよね。みんなの不安を解消したくてやってたんだよ。

Bさん: 公式な場で仕事以外のことは話せません。それにあの場で挙げるほどでもない話もありますし。仕事中、Aさんはいつも会議や仕事で忙しそうにしているので、よっぽど困らないと話かけにくいし……。自己解決はしますけど、モヤモヤ感が残るんです。

「居場所がない」というモヤモヤ感

photo 自分だけランチに誘ってもらえない……。そんなモヤモヤが積もり積もると大変なことになるかもしれません

 この後もBさんの相談は続き、「自分以外の3人とは毎日ランチに行くのに、自分はいつも誘ってもらえなかった」ことから、自分がいない方がチームは楽しいのでは……、と彼女が疑心暗鬼になったことも聞き出せました。

 「Bさんはチーム内で唯一の女性。ランチくらい、他の女性社員と一緒に行きたいだろう」という自分の心遣いが、裏目に出ていたことにAさんは気付き、Bさんの不満が「気にかけてもらえない」ことにあると理解しました。Aさんは仕事をバリバリこなすBさんの「意外な一面を見た」気がしたそうです。

 例に挙げたのは、異性混じりのチームの話ですが、こうした話はもちろん同性同士のチームでもよく耳にします。「自分だけおみやげがなかった」「自分だけ飲み会に誘われない」「自分だけあいさつしてもらえない(と思い込んでいる)」といったものです。

 「こんなささいなことで」「自分からコミュニケーションを取りに行かないのは“甘え”だ」などと思う人もいるかもしれませんが、そういったすれ違いの積み重ねが信頼を失わせ、知らず知らずのうちに、人を追い詰めていくのです。

 部下や同僚、取引先の人たちの本音を人づてで聞いて「あの人、そんなふうに思ってたの?」と、びっくりしたことはありませんか? ポジティブにせよ、ネガティブにせよ、自分が気が付かないところで、抱かれている感情の影響は大きいのです。

 では、AさんはどうすればBさんの信頼を取り戻せるのでしょうか。

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