連載
» 2015年01月20日 10時00分 UPDATE

表現のプロが教えるスピーチの兵法:強弱を付けながら話すと相手に伝わりやすくなる

自分らしさを前面に出した話し方をすると、話を最後まで聞いてもらいやすくなります。人から物まねをされるほどの「個性」を確立できればなお効果的です。今回は、そんな自分らしさを打ち出す際のポイントを解説します。

[企業実務]

月刊誌「企業実務」とは

Photo

企業実務」は、経理・総務・人事部門の抱える課題を解決する月刊誌。仕事をすすめるうえで必要な実務情報や具体的な処理の仕方を正確に、わかりやすく、タイムリーにお届けします。1962年の創刊以来、理論より実践を重んじ、“すぐに役立つ専門誌”として事務部門の業務を全面的にバックアップ。定期購読はこちら

 本記事は企業実務のコンテンツ「表現のプロが教えるスピーチの兵法」から一部抜粋・編集して掲載しています。


 前回、忘年会や新年会で自分の話し方を「物まね」されるようになることを提案しました。自分の伝えたいメッセージの部分で、口ぐせや声の調子、ジェスチャーなどを取り入れて意図的な話し方を続けていくと、それが「物まね」されるような個性として周りの人たちに認知されていきます。その認知度合いを試すよい機会が、新年会などの場です。

 いまひとつ手ごたえが感じられないという人は、いまからでも遅くはありません。今回お伝えするテクニックでこの1カ月間、あなたの個性を印象付けてください。

「土台」部分の上に自分らしい「個性」をのせる

 発言内容の重みを左右する大きな要素として、言葉のイントネーションがあります。音の高さを徐々に下げていく話し方こそがセオリーであり、信頼される話し方の基本形となります。

 この方法は、ケーキでたとえるならスポンジ――つまり「土台」部分です。この土台の上に自分が伝えたいことをのせて、少しずつ個性を出していくのです。

 スポンジに生クリームをのせてイチゴを置けばイチゴのショートケーキになりますし、栗のクリームをのせるとモンブランになります。話し方で個性を演出することは、まさにケーキをイチゴのショートケーキにするか、栗のモンブランにするかの選択といえます。具体的には、話のなかの一部分を強調することで、自分らしさを表現するのです。

強調したい部分を大きくして伝える

 強調するテクニックはさまざまな方法がありますが、一番簡単なのは声の大きさを変えることです。声を大きくしたり小さくしたりすることも、口ぐせやジェスチャーなどに劣らない個性的な表現といえます。

 文書を作成するときの場面を思い出してください。強調したいところは、書体を変えたり文字の大きさを変えたりしますよね。

 「本日新発売の商品のご紹介です」「他社の商品に比べて2割安くなっております」という具合です。話す際も、同じように声の大きさを変えてみるのです。

 例えば、「私が御社の大阪支社に伺います」という例文を考えてみます。

 すべての言葉を均等に伝えると、ただの連絡事項になります。メリハリがなくキーワードが印象に残りにくいからです。そこで、強調する部分を変えてみると、意味が微妙に変わってきます。

 「私が御社の大阪支社に伺います」と「私が」を強調して言うと、ほかの担当者ではなく自分が責任をもって行くという意味に強調されます。

 次に、「私が御社の大阪支社に伺います」と、「大阪支社」を強調して言うとどうでしょうか? いつも会っている東京の本社ではなく、大阪支社で会うということがアピールされます。

 さらに「私が御社の大阪支社に伺います」と「伺います」を強調して言うとどうでしょうか? わざわざ「伺う」行動をとる、という積極性を訴えることができます。

ks_kyoutyou.jpg

 声を大きくすると、相手はそのフレーズに意識が向き、記憶にも残りやすくなります。さらに、強調することによってあなたの熱意も感じさせることができます。

 ただし、注意点が1つあります。私のトレーニングを受講されるリーダー層のなかには、話し始めだけ声が大きい人がいます。「私は山田次郎と申します」と最初の声だけが大きいものの、徐々に尻すぼみになってしまうのです。これだと、いつも話し始めの言葉を強調してしまうことになります。

 話す際には何を伝えたいのか内容をよく考えて、強調する部分を使い分けることが大切です。

声を小さくして強調するテクニック

 強調するテクニックは、実は声を大きくする方法だけではありません。

 「弊社のシステムを導入していただきますと、実は○%のコスト削減が期待できます」という文章で、「○%のコスト削減」の箇所を強調する場合を考えてみましょう。もちろん、「○%のコスト削減」の部分を大きな声で強調することも可能ですが、これとは反対に、あえて小さな声を使って強調することもできます。

 この場合、「実は」を小声にするのです。強調したい部分の直前の言葉を小さくすることで、「ここだけの話」のような特別感を表現することができます。


 今回紹介したテクニックは、「ここが大切だ」「ここを一番伝えたい」という部分を際立たせる音声表現です。ということは、そもそもどこが大切かを意識していないと使うことができない方法ともいえます。内容を一度頭のなかで組み立てて、一番相手に伝えたいことはどこかを意識して表現するべきです。ただ漫然と、言葉を積み重ねてしゃべらないよう気を付けましょう。

今月のポイント

メリハリを付けた話し方をすると、相手の記憶に残りやすくなる。事前に内容を吟味して、一番伝えたい部分を強調する。


著者プロフィール:矢野香

キャスター歴17年。主にニュース報道番組を担当。大学院では心理学の見地から「話をする人の印象形成」を研究。現在は、政治家・経営者・管理職を中心に「信頼を勝ち取るスキル」を指導。著書に『その話し方では軽すぎます! 〜エグゼクティブが鍛えている「人前で話す技法」』がある。著者オフィシャルサイト


Copyright© 2016 ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

Loading

ピックアップコンテンツ

- PR -

注目のテーマ

マーケット解説

- PR -