弥生のノウハウがクラウドへ、見たまま入力で青色申告書を作ろうやよいの青色申告オンライン(1/3 ページ)

会計ソフト「やよいの青色申告」を使う個人事業主は多い。では、そのオンライン版の使い勝手はどうだろうか? 確定申告書の出力までをレビューしてみた。

» 2015年01月23日 11時00分 公開
[宮田健Business Media 誠]

 まもなく確定申告の提出時期がやってくる。確定申告書の記入は項目が多い上に、金額を集計、計算して提出しなければならない。これを手作業で行うことは煩雑だ。そのため、多くの会計ソフトが販売されている。最近は「クラウド会計ソフト」と呼ばれるインストールが不要で、Webブラウザで全ての作業が完結するタイプのサービスが増えてきている。

 「やよいの青色申告オンライン」は、2014年10月に登場した中小/個人事業者向けのクラウド会計ソフトだ。先にレビューした「やよいの白色申告オンライン」との違い、およびパッケージ版「やよいの青色申告」との違いを中心に、確定申告書を出力する部分までをレビューしよう。

青色申告オンライン やよいの青色申告オンライン

見た目は「白色申告オンライン」にそっくり

 まず見て分かるのは、やよいの白色申告オンラインとほとんど画面が変わらないこと。白色申告オンラインからは数クリックで青色申告オンラインに移行できる。少し取引の入力項目が増えるが、それだけでほぼ会計知識を学ぶことなく青色申告の「65万円控除」を受けられるようになるのは魅力的だ。

青色申告オンライン 入力画面は「やよいの白色申告オンライン」とほとんど変わらない。

 白色申告では単純な「単式簿記」だったが、青色申告で65万円の控除を得るには「複式簿記」での記帳が必要だ。そのため、青色申告オンラインでは取引の入力に現金や普通預金、クレジットカードといった「取引手段」の入力が必須になる。逆に言うと、これだけ気を付けていれば多くのメリットが得られるわけだ。

 入力方法は3通り用意されている。「かんたん取引入力」は勘定科目を意識せずに、普段の取引内容から記帳が行えるもの。会計知識に詳しくなくても帳簿が付けられるようになっている。

 「スマート取引取込」は、クレジットカード明細や銀行口座の入出金内容を連携サービスから取り込み、過去の履歴やほかの利用者の使用状況を基に半自動的に品目、勘定科目を設定する。いかにもクラウド会計ソフトらしい機能だ。

 また、会計の知識を持つ人は「仕訳の入力」を選ぶと分かりやすいかもしれない。なお、かんたん取引入力やスマート取引取込の使い勝手は「やよいの白色申告オンライン」のレビュー記事を参考にしてほしい

青色申告オンライン 白色オンラインからの移行。必要な手順が表示される

キーワードは「措法28の2」、30万円以下の固定資産も経費に

 所得税を少なくするには、経費を積み上げることだ。だが、一般的には10万円を超えるPCやデジタルカメラなどを購入しても全額がその年の費用とは認められず、規定の年数で割った額だけが経費になる。

 それゆえ、青色申告のメリットの1つとして、「中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例」が挙げられる。これは個人事業主や資本金1億円以下の企業が、2016年3月31日までに取得し、事業供用した(使い始めた)30万円までの固定資産を一括で損金扱い、つまり費用として計上できる特例だ。誤解されることも多いのだが、これは単純に30万円までの資産を消耗品として登録していいというわけではなく、あくまで固定資産として計上し、記録する必要がある。

 フリーランスのライターにとって30万円の固定資産というと、ちょっと高級なカメラ、そしてPCなどくらいしかないだろう。1年に1度あるかないかという作業だが、やよいの青色申告オンラインではしっかりとこの特例に対応しているため、ほとんど迷うことなく処理ができる。筆者も初めての確定申告のとき、固定資産の扱いがめんどくさいことからなるべく10万以上の出費をしないようにしていたが、この処理の仕方さえ分かれば、「いい道具」を手に入れることも可能になるだろう。

 やり方は簡単だ。まずは通常どおり、取引をかんたん仕訳入力、もしくはスマート取引取込で通常どおり登録する。このとき、よく使う取引から「パソコン(10万円以上)の購入」を選べば自動的に勘定科目として固定資産が選択される。次に左側の「高度なメニュー」から固定資産を登録し、償却方法を「即時償却」とすればいい。これは青色申告を選択した事業者のみが得られる特例だ。有効に活用しよう。

青色申告オンライン 固定資産の情報を登録。PCであれば「工具器具備品」を選ぶ
青色申告オンライン 特例を適用するには「即時償却」を選択
青色申告オンライン 即時償却で登録した資産には、摘要に正しく「措法28の2」と記入がされる
インフレ時代の確定申告
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