この連載は西松眞子著、書籍『仕事ができる人はなぜハンカチを2枚持っているのか?――1秒で相手の心をつかむ「気くばり」の習慣』(日本実業出版社)から抜粋、再編集したものです。
・靴を磨くときは、靴底まで磨く
・“ありがとう”より“うれしい”を口にする
・こだわりは語らない
・着る服は名刺として選ぶ
仕事ができる人は、上司や取引先、同僚、部下など、接する相手にさりげなく好印象を与える達人だったりします。その秘訣は「ちょっとした気くばり」にあります。
あいさつの仕方、持つアイテムのちがい、会話のチョイス……。ほんの小さなことの積み重ねが、相手の信頼を勝ち取り、結果としてほかの人と差がつくものです。
本書では、イメージコンサルタントの第一人者としてこれまで数多くのエグゼクティブ層を指導してきた著者が、「ワンランク上の気くばり」の身につけ方を教えます。
ハンカチを床にしいてから、バッグを置くという営業マンが少なからずいます。訪問先の室内を汚さないためでなく、底の金具で傷をつけないための配慮です。
バッグは、道路、電車、公園、トイレなど、地面に直接置く可能性のあるものということに無頓着ではいけません。ハンドバッグなら背もたれ部分に置いてかまいませんが、底に金具があるものは床置きです。
相手の所有物を大事にすることは、その人へ間接的な敬意を表わすという気くばりです。できる人は、そうした相手の気持ちをくむ、ということを自然にしています。
きめ細やかな配慮のある、美容ディーラーのW氏も、そうした気くばりの行為で培った信頼があるからでしょう。取引先のご自宅に招かれることも少なくないのだそうです。もちろん、同僚よりも抜きん出て営業成績もよく、異例の抜てきもされていました。
つい先日のこと、友人夫妻が事務所を開いたので、友人たちとお祝いパーティーをしようということになりました。新しく買いそろえたテーブルや白いソファーも、ご夫婦の審美眼にかなったものでした。
「すてきなテーブルにワインをこぼしたら大変、ね」と、お互いに注意をしていました。すると奥様が、「分かってもらえて助かります」というようなことを口にされたのです。
「別の機会に集まった人は、ぬれたグラスを無造作に置き、ソファーに営業カバンを直接置いたので……」と話されました。
大ざっぱな性格の人なら悪気なくしてしまいがちなことですが、家具はこだわりや思い入れの強いものです。繊細な人なら、さぞひやひやしたことでしょう。
繰り返しますが、汚れや傷といった表面的な問題だけでなく、相手の所有するものはこちらも大切に扱うことで敬意を表わすことができ、信頼につながります。
なお、料亭など和の空間で接待をする際にも、バッグを置くなら畳を傷つけないように、板の間(いたのま)に置きましょう。板の間がない場合は、相手の目が届きにくい場所、出口近くに、ハンカチをしいて置きましょう。
(つづく)
バッグの底は「靴底」と同じと心得る
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