土肥: 「新しい商品をどんどん出してきた」ということですが、これって言うのは簡単ですよね。ド素人の私でもひょっとしたら、2〜3種類はアイデアが浮かぶかもしれません。もちろん、売れるかどうかは別にして。50年近くも水泳帽子をつくってきて、「あー、もう新しいアイデアなんて浮かばないよ。これで終わり」と思ったこはないですか?
磯部: うーん、それはないですね。24時間、水泳帽子のことばかり考えているので、「こんな帽子はどうかな」「あんな帽子はどうだろう」といったことばかり想像しています。
土肥: これまでどのくらいの種類をつくられたのですか?
磯部: 累計は……ちょっと分からないですね。いわゆる特注を含めると、膨大な数になりまして。常時扱っているのは、30種類ほどです。
土肥: 要望を受け入れながら、改良に改良を重ねる。ものすごい「粘り」を感じることができすが、今後も改良に改良を重ねていく予定ですか?
磯部: もちろんです。「これで終わり」「これ以上のモノはできない」という気持ちになれば、本当に“終わり”ですから。これまでのように、改良に改良を重ねながら、これまでになかったモノをつくっていかなければいけません。
水泳帽子を開発した当初は、小学生用につくりました。しかし、いまは違う。赤ちゃんもかぶりますし、大人、お年寄りもかぶります。また、泳ぐだけでなく、運動される人もいますし、歩く人もいます。プールという狭い空間の中ですが、使われ方は多様化してきました。時代の流れに取り残されないようにしなければいけません。
土肥: その昔、「欧米企業に比べて、日本企業は商品を開発するのが苦手」と言われてきました。しかし、「日本企業は消費者の声を聞いて、より使いやすく改良することが得意」とも言われてきました。考えてみると、フットマークはその両方を兼ね備えているような。だから水泳帽子の市場で“独泳”しているのかもしれません。
次に、介護おむつカバーの話を聞かせていただけますでしょうか? 「介護」という言葉がなかったころに、おむつを必要とするお年寄り向けのおむつカバーを開発されました。そもそもどういったきっかけで、つくられたのでしょうか?
磯部: それはですね……。
(つづく)
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