ビジネスパーソンの強い味方!総務のナゾに迫る

社食でついつい選んでしまう「健康メニュー」とは何かヘルシーなのに食べ応えあり(1/4 ページ)

» 2017年06月14日 11時00分 公開
[加納由希絵ITmedia]

働き方の質を変える“社食”改革

 社内の交流が少ない、ブランド価値を高めたい、もっと活気がほしい……。企業が抱えるさまざまな課題を解決するために、全ての働く人の生活と切り離せない「食」をヒントにできないだろうか。食事を取るだけでなく、コミュニケーションやリラックスの場所として機能するようになった社食は、いまや会社の“顔”にもなっている。社食にまつわる取り組みから、改革のヒントを探る。

 →第1回 “安い・早い・多い”だけじゃない 社食で企業価値向上へ

 →第2回 社食なのに夜メイン? 発想を変えて理想を実現

 →第3回 本記事

 →第4回 「家で食べる」もあり 広がる“宅配型”社食

 →第5回 社食がないのはなぜ? 交流の場はほかにある


 最新の社食において、最も重視されるキーワードが「健康」だ。社員が健康に、生き生きと働くための仕掛けを社食に取り入れる企業は多い。それは、むやみに摂取カロリーを減らすだけではない。力を入れる企業の取り組みを追った。

photo 大日本印刷で提供されている女子栄養大学とのコラボメニュー。この日のメインはサワラのムニエル。デザートは単品で追加した

1日1600人がランチを利用

 豊かな緑を感じられる大日本印刷の本社(東京都新宿区)。現在も再開発が続いており、ここに企画や製造、営業など、都内に点在していた事業部の機能を集約した。それに伴い、3カ所の社食を新設。それぞれコンセプトが異なり、気分に応じて使い分けることができる。

 今回紹介するのは、グループの施設管理などを行うDNPファシリティサービスの直営店。他の2店舗はそれぞれ異なる食堂運営会社に委託している。同社執行役員の市川卓氏は「他社と横並びで運営することで、メニューやイベントについて『負けられない』という気持ちで取り組める。相乗効果は大きい」と説明する。

 話を戻すと、DNPファシリティサービス直営の社食は、2012年に完成したビルの5階にある。明るく、カジュアルな雰囲気で、屋上ガーデンもある。屋上も合わせると約630席。ランチは1日1600人が利用するという、広大な社食だ。

photo 円形のオープンキッチン。長い行列ができないように形状を工夫している
photo メニューを展示する台も円形だ

ヘルシーメニューを目玉に

 ここの目玉となっているのが、女子栄養大学とのコラボレーションによるヘルシーメニュー。1食690キロカロリー以下、塩分は3.4グラム以下に抑えながら、栄養バランスの取れた食べ応えのあるメニューを提供している。

 以前の社食でもヘルシーメニューは提供していた。しかし、「病院食のような、味気ないメニューで、販売数は少なかった」と、DNPファシリティサービスメニュー企画開発室の仲丸裕士氏は振り返る。ヘルシーメニューを看板商品にするためにはどうしたらいいか、探し歩いたという。

 そんなとき、社員に女子栄養大の卒業生がいるという縁から大学を訪問。食文化の発信や啓発活動に取り組む女子栄養大では、学食でさまざまなヘルシーメニューを提供している。学生や社員に「健康でいてほしい」という気持ちや理念を共有できたことから、学食メニューのレシピを提供してもらうコラボレーションが実現。女子栄養大にとっては、企業の社食向けにレシピを提供するのは初めてだった。

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