社内の交流が少ない、ブランド価値を高めたい、もっと活気がほしい……。企業が抱えるさまざまな課題を解決するために、全ての働く人の生活と切り離せない「食」をヒントにできないだろうか。食事を取るだけでなく、コミュニケーションやリラックスの場所として機能するようになった社食は、いまや会社の“顔”にもなっている。社食にまつわる取り組みから、改革のヒントを探る。
→第1回 “安い・早い・多い”だけじゃない 社食で企業価値向上へ
→第3回 本記事
最新の社食において、最も重視されるキーワードが「健康」だ。社員が健康に、生き生きと働くための仕掛けを社食に取り入れる企業は多い。それは、むやみに摂取カロリーを減らすだけではない。力を入れる企業の取り組みを追った。
豊かな緑を感じられる大日本印刷の本社(東京都新宿区)。現在も再開発が続いており、ここに企画や製造、営業など、都内に点在していた事業部の機能を集約した。それに伴い、3カ所の社食を新設。それぞれコンセプトが異なり、気分に応じて使い分けることができる。
今回紹介するのは、グループの施設管理などを行うDNPファシリティサービスの直営店。他の2店舗はそれぞれ異なる食堂運営会社に委託している。同社執行役員の市川卓氏は「他社と横並びで運営することで、メニューやイベントについて『負けられない』という気持ちで取り組める。相乗効果は大きい」と説明する。
話を戻すと、DNPファシリティサービス直営の社食は、2012年に完成したビルの5階にある。明るく、カジュアルな雰囲気で、屋上ガーデンもある。屋上も合わせると約630席。ランチは1日1600人が利用するという、広大な社食だ。
ここの目玉となっているのが、女子栄養大学とのコラボレーションによるヘルシーメニュー。1食690キロカロリー以下、塩分は3.4グラム以下に抑えながら、栄養バランスの取れた食べ応えのあるメニューを提供している。
以前の社食でもヘルシーメニューは提供していた。しかし、「病院食のような、味気ないメニューで、販売数は少なかった」と、DNPファシリティサービスメニュー企画開発室の仲丸裕士氏は振り返る。ヘルシーメニューを看板商品にするためにはどうしたらいいか、探し歩いたという。
そんなとき、社員に女子栄養大の卒業生がいるという縁から大学を訪問。食文化の発信や啓発活動に取り組む女子栄養大では、学食でさまざまなヘルシーメニューを提供している。学生や社員に「健康でいてほしい」という気持ちや理念を共有できたことから、学食メニューのレシピを提供してもらうコラボレーションが実現。女子栄養大にとっては、企業の社食向けにレシピを提供するのは初めてだった。
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