完璧な人間はいない――。だが、仕事も私生活も充実させ、鮮やかにキャリアを築く「女性リーダー」は確実に増えてきた。企業社会の第一線で活躍する女性たちの素顔に迫り、「女性活躍」のリアルを探る。
女性活躍推進法の制定、2020年までに女性管理職を30%へ――。近年、女性が家庭の外で働くことを促す風潮が強まっている。政策としては、少子化によって若年労働力が減っていることが一番の理由なのだろう。家庭では、夫の賃金水準が下がっているために共働きをせざるを得ない事情がある。
今までは「内助の功」を期待しておいて、労働力や賃金が減ったら「外でも働いてほしい」と要求するなんて、ずいぶん勝手な言い草だと思う。他人の話ではない。筆者の妻は家業の経営者で、収入はフリーライターの筆者よりはるかに多いが、家事の7割は妻が担っている。
言い訳をさせてもらうならば、住む場所に関しては大いに譲歩した。結婚前、筆者はずっと東京に住んでいて、今でも東京に出張しなければ取材や打ち合わせはできない。しかし、家業が愛知県にある妻の通勤のために、自宅は愛知県に移した。
人それぞれの事情と生活スタイルがあるのだ。メディアでは特別に華やかな存在として取り上げられがちな女性リーダーたちも、当然ながら人生の起伏があり、趣味嗜好を持ち、家族もいる。
本連載では、企業社会の第一線でリーダーとして活躍する「パーフェクトウーマン」たちに会いに行く。インタビューによってその素顔に迫り、彼女たちのリーダーシップの源泉を筆者なりに考察する。その結果として、「女性活躍」のリアルが見えてくるかもしれない。
第1回は、Getty Images Japan(ゲッティイメージズジャパン)の社長である島本久美子さん。Getty Imagesと言えば、Webサイトの写真で毎日のように目にする会社だ。その写真と映像は、世界中で毎年10億回以上検索され、4億点以上の素材がダウンロードされて記事や広告に使われているという。
島本さんはこのグローバル企業の英国法人に勤め、欧州での報道写真事業の拡大に成功した。帰国後も日本を中心に、アジアでの成長を任されている。まさに「グローバルビジネスリーダー」だ。
東京・原宿にあるゲッティイメージズジャパンを訪れると、スタイリッシュな洋服に身を包んだ島本さんがにこやかに迎えてくれた。話し始めると、丁寧さの中に強い自信と責任感が伝わってくる。しかし、地元である関西での就職を経て英国に渡った理由は意外なものだった。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR注目記事ランキング