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» 2018年08月30日 08時30分 公開

障害者はただの「数字」なのか:障害者雇用水増しに「怒りより痛み感じて」 車いすの歌姫の叫び (1/5)

障害者雇用水増し問題に障害者タレントが本音を語った。自分たちが企業から受けた差別を踏まえ「やっぱりそうなのか」。「私たちの痛みを自分のことと感じて」と話す。

[服部良祐,ITmedia]

 中央官庁が雇用する障害者の数を水増ししていた問題がさらに拡大しつつある。多くの省庁で水増しが発覚、自治体にも波及した。国や自治体には民間企業よりも高い比率で障害者を雇用するよう法律で義務付けられていたものの、対象外の職員をカウントすることで数字を偽っていた。

 障害者雇用の促進をうたう国や自治体が、自ら長年にわたり多くの障害者の雇用機会を奪ってきたことになる今回の不祥事。制度自体の設計に問題があると指摘する声も上がる中、当事者はこの問題をどのように見つめているのか。

録音された音声から話し手の表情を“聴く”

 今回話を聞いたのは、日本初の障害者専門の芸能プロダクション「Co-Co Life(ココライフ)タレント部」に所属する2人の女性。自分にしかない才能を武器に、健常者に交じってエンターテインメントやビジネスの分野で活躍するタレントだ。

 彼女たちの口から出たのは激しい怒りより「やっぱりそうなのか」という冷めた言葉だった。今は胸を張って自らの才能を生かし働いている彼女たちだが、いまだに日本企業にはびこる障害者への偏見や無理解と闘い続けてきた過去があった。建前でない障害者と健常者の共生に何が足りないのか。

photo Co-Co Lifeタレント部の女性タレント、松田昌美さん(右)と小澤綾子さん

 松田昌美さん(32)は取材や会議の内容を録音したテープを文章に起こす「ブラインドライター」だ。生後すぐに受けた医療過誤のせいで視覚と足に障害があり、つえを突いて歩いている。3年前に飲食チェーンの契約社員として傍らで副業としてこの仕事を始め、今は専業で活躍する。

  同じく視覚障害のある5人と一緒にブラインドライターを務める松田さんには、同僚も舌を巻く“異能”があるという。テープの音声を聞くだけで、自分が行っていない取材や会議の風景を事細かに把握して文章に盛り込むことができるのだ。

 「どんな部屋で何人がそこにいてどれくらいの年齢か、取材時の季節も言われなくても分かる」(松田さん)。そういった音声に直接現れない情報を文章に盛り込む。テープの中で発言する会ったこともない人物の表情を、まさに“聴く”ことができる。10人以上が同時に話している録音内容も間違いなく聞き分けて文章化することが可能だ。

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