マーケティング・シンカ論

ワタミが“ビッグデータ集客”に挑む深い理由グルメサイト頼み、変える(2/3 ページ)

» 2018年12月21日 08時10分 公開
[服部良祐ITmedia]

ユーザーデータを囲い込む

 グルメサイトの利用は維持しつつ、依存しすぎないための新たな販促方法としてワタミが考えたのがオウンドメディアによるユーザーの囲い込みだ。外部サイトを介さず、自社の各店舗のWebサイトとメールや広告を連携させて直に客を店に導く。現在、まず鳥メロの各店舗でサイトを立ち上げて進めている。

photo オウンドメディア強化のため鳥メロは各店舗でWebサイトを構える(同店Webサイトから引用)

 その前提となるのが、Webや電話から店に直接予約してきた顧客情報を取りまとめるシステムの確立だった。グルメサイト経由でなく、自社のシステムで漏れることなく予約を受け付ける必要があるからだ。

 16年ごろにワタミの担当者らが長崎県にある自社のコールセンターを訪れたところ、顧客情報のデータ化はおろか、オペレーターは「正」の字を紙に書いて電話してきた人数などを数えていた。「電話がどこからかかってきたのか、こちらが話し中で何本予約を取りこぼしてしまったのかという情報も分からない状態。でもここに金脈があると考えた」(同社の担当者)。

 早速イデア・レコードの持つ、コールセンターに寄せられる詳細な顧客情報をオペレーターに入力させてデータ化して管理するシステムを導入した。同社の予約管理システムなども入れることで、電話予約時の取りこぼし防止やネット予約の円滑化を進めた。結果、ミライザカでは17年度のネット予約数が導入前の前年度より2.5倍になったという。

photo イデア・レコードの予約管理サービス「お席トットくん」(同社のWebサイトから引用)

 ただ、これらの予約管理体制のデジタル化も、真の狙いは顧客情報の集積にある。グルメサイトを通じても予約は来るが、「そのときの顧客情報は自社の中にたまらない。情報は囲い込んでいきたい」(ワタミの担当者)。

 同社が今後狙っていくのが、ビッグデータを使って顧客を狙い撃ちし、直接囲い込むマーケティング施策だ。同社の担当者は「今まで(グルメサイト上で)『投網』で客をとっていたのを、いわば釣りにするようなもの。漁の仕方を変える」と説明する。

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