Slack Japanの生垣侑依氏によると「Slackの利用に関して、マナーのようなものを設けていることはない」とのこと。一方で、Slackを使うときに心掛けるべき「コアバリュー(=“Slackぽさ”)」を定めているという。
例えば、Slackを使う上で最も重要なのは「相手への思いやり」だという。読み手のことを考えた文章作成は、お互いの顔が見えないチャットだからこそ、必要な気遣いだといえる。
発言するときに、その発言が適したチャンネルに行うことも重要だという。数人規模であればよいかもしれないが、数十人、数百人単位が入っているチャンネルで、関係のない投稿をしてしまうことは迷惑となり得る。Slack社内では、チャンネルに最適ではない議論が始まった場合には、「アライグマ」の絵文字を使い、最適なチャンネルへ案内するように促しているという。アライグマはごみをあさる習性があることから、不必要な発言を適正化する意味で、用いているのだとか。
「マナーとまではいかないが、こうした“エチケット”を心掛ける必要はあるのでは」と生垣氏は話す。
生垣氏は「組織の“あるべき姿”にSlackを適応させることは重要。そのために、エチケットのアドバイスを行うこともある」と話す。現場で日々カスタマイズできるからこそ、企業の特性にあった使い方やルール策定がおすすめだという。
例えば、ZOZOテクノロジーズがSlackを導入した際には、あえてダイレクトメッセージやプライベートチャンネルを禁止したという。せっかく組織のコミュニケーションを円滑するツールを取り入れたのに、一部の人だけで議論しているのでは意味がない。また、昨今話題の「心理的安全性」を高めるという観点からも、誰もが気軽に発言できるよう、上記のような制限を設けた。
また、ガレージ、倉庫やホースの製造販売などを行うカクイチ(長野県長野市)で導入した際には、「社長のつぶやきチャンネル」を設けた。ふだんなかなか現場の社員とコミュニケーションが取れないことから、より風通しを良くするためにメッセージ性の強い投稿を行っている。
生垣氏は「Slackの使い方は1000社あれば1000通り。プロジェクトをまわす、会議をする、といった基本的な使い方はもちろん、カクイチさまのようにTwitter的な使い方もできる」と話す。
よくある「ビジネスマナー」は時として「それ、本当にいる?」と思うようなものも少なくない。筆者は冒頭に挙げたSlackの謎ルールもこうした部類のものだと考える。しかしながら、Slackを使う上で「企業内エチケット」を設けるのは、業務をより効率化する上でも、エンゲージメントを高める上でも有用なのかもしれない。
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