世界一規律正しい日本人が、「外出自粛」の呼びかけを無視するワケスピン経済の歩き方(3/6 ページ)

» 2020年04月07日 08時00分 公開
[窪田順生ITmedia]

「新型コロナ報道」に疑問

 感染拡大を食い止めるため不眠不休で働く医療関係者の人たちが聞いたら卒倒しそうな主張かもしれないが、ネットやSNSではこのような仮説が盛んに唱えられており、それなりに支持を集めている。

 ただ、そこまで理屈っぽく物事を考えているのは少数派で、大多数の人々は「なんとなく大丈夫かなと思った」とか「みんな普通に出かけてるから」というふわっとしたムードで外出をしている。では、なぜこのようなムードがつくられたのかというと、筆者はマスコミによる「新型コロナ報道」によるところが大きいと考えている。

 「不要不急の外出を控えて」という政府や東京都の呼びかけがあった以降のニュースや情報番組を思い出してほしい。さまざまな観光地や繁華街に生中継を出して、「不要不急の外出をしている人々」の映像を大量に流していなかっただろうか。

 例えば、フジテレビの『とくダネ』は、東京都が不要不急の外出を控えるよう呼びかけた先月28日と29日に、箱根・熱海などの観光地には多くの若者の姿が見られたというVTRを流すとともに、東京・原宿でパンケーキを食べに来た若者にマイクを向けて、「パンケーキとコロナの怖さを比べると?」と質問。若者は笑いながら「今日はちょっとパンケーキでした」なんて答える映像を流している。VTR明けのスタジオではこういう若者を「バカ者」扱いで、記事冒頭で述べたように、彼らの無知と無自覚が感染拡大を招いていると言わんばかりに吊し上げた。

 もちろん、このような報道はテレビだけではない。『若者、東京で買い物やカラオケ 外出自粛「気にしない」「遅い」』(東京新聞、3月28日)というような論調は新聞やネットにも溢れ返って、若者に人気のある芸能人が「危機意識を持って」などと呼びかけた。

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