次の「新幹線」はどこか 計画をまとめると“本命”が見えてきた?杉山淳一の「週刊鉄道経済」(2/8 ページ)

» 2021年12月05日 08時00分 公開
[杉山淳一ITmedia]

JR九州は新幹線と観光列車で需要喚起

 新幹線開業と連動した観光列車開発はJR九州の得意芸だ。04年の九州新幹線が新八代〜鹿児島中央間で部分開業したときは、熊本〜吉松間の「いさぶろう・しんぺい」に観光車両を投入し、吉松〜鹿児島中央間に特急「はやとの風」を運行開始した。

 11年の九州新幹線全線開業時には、熊本起点の「A列車で行こう」「あそぼーい!」、鹿児島中央起点の「指宿のたまて箱」を運行開始。JR九州の観光列車たちが広くメディアで紹介された。

 JR九州の長距離列車は高速バスの発達により苦戦していた。新幹線は速いが運賃は高い。だからこそ新幹線の目的地を創出する必要があった。それが魅力ある観光列車の開発だ。「ふたつ星4047」の車両は「いさぶろう・しんぺい」「はやとの風」を改造して使うとのこと。鹿児島新幹線のテコ入れ列車の役目は終わり、次の西九州新幹線の応援に向かう。

 西九州新幹線では「ふたつ星4047」のほかに、既存の観光列車「或る列車」も華を添えるだろう。長崎方面の観光列車はほかに「36ぷらす3」もあるけれども、この列車は電車で、現在の長崎本線は肥前浜〜諫早間の電化設備が撤去されるから運行できない。「ふたつ星4047」は、こうした観光列車の再編も見越した施策かもしれない。

在来線観光列車「ふたつ星4047」が西九州新幹線の旅を誘う。4047は、使用車両の形式、キハ40、キハ47から(出典:JR九州 プレスリリース
「ふたつ星4047」の報道資料には「36ぷらす3」の運行も記されているが……(出典:JR九州 プレスリリース

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