次の「新幹線」はどこか 計画をまとめると“本命”が見えてきた?杉山淳一の「週刊鉄道経済」(7/8 ページ)

» 2021年12月05日 08時00分 公開
[杉山淳一ITmedia]

 「山陰新幹線」は促進要望団体が多く「山陰新幹線建設促進期成同盟会」「山陰縦貫・超高速鉄道整備推進市町村会議」「山陰新幹線を実現する国会議員の会」「山陰新幹線京都府北部ルート誘致・鉄道高速化整備促進同盟会」「山陰新幹線整備促進鳥取市議会議員連盟」などが結成された。いずれも20年以降の活動実績が公開されていない。

 「山陰縦貫・超高速鉄道整備推進市町村会議」によると、山陰新幹線の整備効果として、大阪〜米子間は現在の約3時間10分から約2時間となり約1時間の短縮、大阪〜舞鶴間も約2時間から約1時間となり、約1時間の短縮となる。

 当然ながら沿線への経済効果はあるわけで、鳥取まで全線フル規格の複線で建設された場合は「0.90兆円の建設投資で、1.72兆円分の累積GDP増加」、米子まで全線フル規格の複線で建設された場合は「1.60兆円の建設投資で、2.96兆円分の累積GDP増加」という試算も示されている。しかし費用便益比の算定までは至らない。

山陰新幹線は京都から分岐する舞鶴ルート、敦賀〜小浜間を北陸新幹線と共用するルートが議論されている(出典:とっとり市報 平成28年7月号【特集】山陰新幹線の実現に向けて総決起大会を開催します

 「東九州新幹線」は福岡県、大分県、宮崎県、鹿児島県と北九州市で構成する東九州新幹線鉄道建設促進期成会がある。大分県と宮崎県の要望が強く、20年に国土交通省に要望活動を行った。

 同会の調査結果に寄ると、博多〜大分間は現在の2時間5分から47分となり、1時間18分の短縮、大分〜鹿児島中央間は5時間18分から1時間17分となり4時間1分の短縮となった。博多〜宮崎間は大分県の試算で5時間14分から2時間9分となり3時間5分の短縮となった。費用便益比は40年から90年までの50年間ですう勢(成り行き)で1.12、戦略(積極的政策実施)で1.31となった。

東九州新幹線は大分県、宮崎県の要望が強い(出典:大分県ホームページ 東九州新幹線について

 「北海道南回り新幹線」と「九州横断新幹線」はいまのところ目立つ動きはない。

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