ニュース
» 2004年12月15日 15時09分 UPDATE

ITプロジェクトが失敗する根本原因は何か

ソフトを書き換えれば済む問題ならいいが、問題の多くは、ソフトそのものにではなくビジネスプロセスにある。(IDG)

[IDG Japan]
IDG

 ソフトウェアプロジェクトがうまくいかないと、結果は悲惨なものになる。数カ月ごとに新たなホラー物語がニュースの見出しを飾る――最近のHewlett-Packard(HP)のSAP導入失敗例のように。同社は数十件のERP移行プロジェクトを順調にこなしてきたが、最近のプロジェクトが問題に陥ると連鎖的な混乱が発生し、同社の第3四半期決算が予測を下回る一因となった。

 Delphi Groupによる最近の調査は、大規模なITプロジェクトに取り組む際の問題のかなりの部分が、ソフトそのものにではなく、ソフトの配備を取り巻くビジネスプロセスにあることを示唆している。継続中のDelphiの調査では、回答者の70%が、ビジネス要件を把握して文書化するのは難しいプロセスだと言い、60%以上がプロセスとポリシーの変更で苦労すると答えている。

 「この調査で特筆すべきは、回答が非常にはっきりしていることだ」と調査をまとめたDelphi(Perot Systemsの一部門)のチーフアナリスト、ナサニエル・パーマー氏は言う。「回答者は、ビジネス要件の把握など、問題領域を非常に明確に特定した。それは当然の職務能力の一つと考えられがちだが、圧倒的多数の回答者が問題点の特定は難しいと言っている」

 回答者の75%以上が、必要なデータが幾つもの情報源に分散しているとし、90%近くがビジネス要件の半端な定義や把握が組織内で問題になっていると答えた。

 Horizon Casualty Servicesの業務担当ディレクター、ジョン・オリベイラ氏は、こうした調査結果に共感する。Horizon Casualty Servicesは、ニュージャージー州ニューアークの保険サービス会社で、保険金支払い請求処理サービスなどを提供している。

 昨年オリベイラ氏は、人手に大きく頼った同社の処理システムに費やされているリソースを減らすという課題に取り組んだ。この処理システムでは、会社に届くすべての請求書を手作業で処理しなければならなかった。オリベイラ氏は最初、同氏率いるIT部門が、社内開発の請求処理アプリケーションを書き換えて改良する必要があると考えた。しかし、ほかの選択肢の検討も始め、ビジネスプロセスマネジメント(BPM)ソフトのベンダー、RulesPowerと接してみて、ソフトの問題だと思い込んでいたことが、実際にはビジネスプロセスの問題であることに気付いた。

 「われわれは、物事の考え方を根本的に変える必要があった。どうやってビジネス要件を定義し、それをどう文書化し、自動化したソリューションでどう効果的に使うか、といった問題に取り組むためには、企業文化の一大変革が必要だった」とオリベイラ氏。

 Horizonは請求処理プロセスを図解し、そうすることによって、例えば2件に分かれているが同一の顧客からの請求を扱うために二つの異なる支払いプロセスが起きているなどの、無意味なワークフローを発見した。4カ月にわたる正式なプロセスの開発とそのプロセスに沿ってRulesPowerとその支払いアプリケーションを設定する作業の後、Horizonは刷新したプロセスシステムの第1段階運用を7月に開始した。Horizonの当初の目標は、請求書の20%を人の手を介さずにそのシステムで処理することだった。初日に、40%が自動的に処理された。

 ビジネススタッフとITスタッフにルールとプロセスについて考えるよう訓練するのは大変だったが、結果は劇的だったとオリベイラ氏は言う。今やHorizon Casualtyは、今まで数日かかっていた請求処理をリアルタイムでこなし、以前気付かなかったシステムのボトルネックを発見した。オリベイラ氏は現在、支払い認定処理の遅れなど、そうしたボトルネックの解消に取り組んでいる。

 「最もよかったのは、以前よりもプロセスを理解できるようになったことだ」(オリベイラ氏)

 Delphiのパーマー氏によれば、同社の調査の目的は、ソリューションの提案ではなく、オリベイラ氏のようなマネジャーに、ビジネスプロセスが演じる役割と、要件の正式定義と文書化の利点に気付いてもらうため、弱点を特定することにある。大小さまざまな組織のIT管理者を対象としたこの調査には、オンラインで参加できる。

 「人々はずっと前から、ソフトウェアシステムプロジェクトの失敗率の高さを示す統計を引き合いに出している。だが、企業はいまだにソフトに投資し、ソフトの強化を進めている。当社は、なぜこれほど失敗が多いのかを説明する根本的理由に目を向けている」とパーマー氏は語る。

Copyright(C) IDG Japan, Inc. All Rights Reserved.

Loading

ピックアップコンテンツ

- PR -

注目のテーマ

マーケット解説

- PR -