函館空港ビルをひとり支えるSEに聞く(3/3 ページ)

» 2005年05月19日 09時12分 公開
[怒賀新也,ITmedia]
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 同氏はここで、「アプリケーション分野と比較して、SEの多くはインフラの設計をあまり重視していないケースが多く、最も意見が食い違うポイントになっている」と述べる。実際に、館内全体のネットワーク構成を考える場合に、「セキュリティの仕組みについて、ルーティングで行くのか、V-LANで仕切るのか」といった点が問題になったという。

 設計をする上で留意した点もやはり安全性の確保にあった。レジのシステムがWindowsベースで稼動している状況で、ウイルスへの対策をする場合、レジのメカ自体には対応する術がないため、「ゲートウェイで対応するしかなかった」という。

 だがここで、ゲートウェイでの対策を行う場合も、ソフトウェアベースの対応ではゲートウェイの処理速度が落ちてしまうため、ハードウェアベースで実施する必要があった。

 さらに、「落ちないように」するための仕組みとして、ループ状に形成されたネットワーク内でデータが永遠に循環するのを防止するための制御手法の1つである「スパニングツリー」を採用し、経路を二重化した。

 また、ハードウェアベンダーとの保守契約料が非常に高額であるため、あえて契約を結ばずに、「その資金で予備機材を購入しておき、障害が起きたら予備マシンを利用して自力で復旧させるという作戦にしている」という。

 一方、現在の懸案事項として、「空港の利用客にどのようにインターネットの仕組みを開放するか」が挙がっているとしている。

「カネ」の話も分かってほしい

 尾伊端氏はSEに対して求める点として、「技術力はもちろんだが、営業もできるSEがありがたい」と話す。ユーザーとして、システムインテグレータのSEと話をする場合に、機能面とコストは切れない関係にあり、「コストの話になるとすぐに営業に話を回されることがあり、境界線が存在している」という。そのために、トータルの観点で相談することが難しいといった状況もあったとしている。

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