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» 2005年05月26日 17時14分 UPDATE

特集:Skypeは企業IP電話を変えるかSkype活用事例「Skypeを内線代わりに活用」アトリス

システムインテグレーターのアトリスでは、業務連絡用の内線電話としてSkypeを採用している。(関連特集

[N+I NETWORK Guide]

N+I NETWORK Guide 5月号(2005年)より転載しています

技術者集団が選んだソフトフォン

 アトリスは、基幹系システムの設計・開発を手がけるシステムインテグレーター。元サン・マイクロシステムズのJavaインテグレーション部隊がスピンアウトして設立した、社員十数名という少数精鋭によるエンジニア集団である。サン時代に手がけた筑波大学医学部付属病院のオーダリングシステム(治療計画の支援システム)の保守を引き継ぐなど、特に医療機関の基幹システム構築のノウハウを持つ。

 代表取締役の安光正則氏は、2004年6月に会社を立ち上げた当初、内線網をIP-PBXベースで構築しようと考えた。IP電話の新規導入なら低コストでできるとふんでいたのだ。だが、業者の見積もりではPBXだけで300万〜400万円と高価で、支社を持たない同社の規模からして採算がとれない。セキュリティ機能を実装した社内ネットワークの敷設だけですでに600万円近くかかっていたため、内線システムに大きなコストをかけることは難しかった。

安光氏 安光氏は、「業務的には、使い勝手のいいSkypeのほうが既存の電話機よりはるかに優れている」といい切る

 アトリスは社員の9割以上がSEという開発会社であり、特定の顧客や関係者と連絡するだけで、営業活動のためひんぱんに外線を利用するということもない。そこで、内線はPC上で動くソフトウェアフォンレベルのもので十分間に合うと判断した。安光氏は、以前から個人的にいろいろIMやソフトウェアフォンを使ってきたこともあって、当時海外で高い評価を受けていたSkypeの情報をいち早く聞きつけ、さっそく試したところ、インストール・操作の容易さや音質にかなりの手応えを得た。

リモート間の音声会議も

 社員のPCにSkypeをインストールし、全社的に利用を始めるまでに時間はかからなかった。実際に追加購入した機材といえば、ヘッドセットとマイク程度だ。Skypeのユーザーインタフェースのわかりやすさには元より定評があるが、社員がシステムエンジニアのため、教育の必要もなく各自で円滑に使いこなしている。

テキストチャット テキストチャットの機能を、不在時の伝言メモに使うこともできる

 顧客である筑波大学内の端末にもSkypeが導入されており、Skypeのステータスで開発担当者の在席状況が把握できるので、用件のあるときはダイレクトに担当のSkypeに電話がかかってくる。したがって、保留転送やIVRのような固定電話の機能も特に必要がなかった。また、会議通話機能を使って、移動中の社員や取引先とのグループ会議もひんぱんにあるという。協力会社との業務連絡にも使われている。

 もっとも、企業ポリシーなどの事情で通話先がSkypeではなく固定電話になる場合は、個人の携帯電話を使うことが多い。固定電話や携帯電話に通話できるSkypeOut機能は課金されるため、関係者間の業務連絡はSkype、それ以外は携帯電話かFAX兼用に導入したISDN回線、というように使い分けているようだ。

電話会議 電話会議機能を使って3者間通話を行うこともよくある

 ネットワーク環境は、100MbpsイーサネットLAN、インターネットにはBフレッツ(ベーシック)接続というSOHOでは標準的な帯域だが、Skypeの音声はクリアで途切れも少なく、内線利用に堪えるだけの品質を保っている。

IDの運用管理に課題

 ただし、課題はある。

 P2Pの仕組みを利用するSkypeの仕様上避けられないことだが、ユーザーの管理が難しい。アトリスでは便宜上、安光氏が社員・関係者のSkype IDを管理し、新規ユーザーのコンタクトリストにまとめて送信するという形で運用している。ユーザー数が少ないうちはこうした運用でなんとかなるが、社員が増えてくるとIDの追加・削除の作業が煩雑になってしまう。

 また、登録したIDは、社内外を問わずコンタクトリスト内にアルファベット順でフラットに表示されるだけで、携帯電話のアドレス帳のような任意のグループ分けができない。社内では、フォルダによるSkype IDのグループ管理機能が要望に挙がっている。

 アトリスの場合、ユーザー規模が小さい点、内線システムが新規導入である点、社員がITエンジニアである点など、Skypeを受け入れやすい条件がそろっていたといえる。だが、その分活用度は高く、社員の日常のコミュニケーションツールとしてすでに定着している。

株式会社アトリス

設立:2004年4月
資本金:1000万円
本社所在地:東京都世田谷区用賀2-39-11 用賀STビル3F
従業員数:11人(協力会社スタッフ 40人)
事業内容:基幹系システム構築設計 コンサルティングアプリケーション開発 フレームワークの製造・販売

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