失敗しない企業が選択するアプローチITIL導入成功のステップ(1/4 ページ)

ITILの全プロセスを一時に導入しようというのは無理がある。ITIL導入企業に見る3つのアプローチから選択するのがポイントだ(攻めのシステム運用管理)。

» 2005年07月20日 09時03分 公開
[川浪宏之(野村総合研究所),ITmedia]

 ITILのITサービスマネジメントは、「サービスサポート」5プロセス、「サービスデリバリ」5プロセスの計10プロセスから構成されている。日常業務を抱えながら、これら全プロセスにITILを一斉に導入するのは、どの企業でもリソース面で限界があるものと思われる。

 投資対効果という視点からも、闇雲に全プロセスを対象にするのではなく、改善効果の高いプロセスから段階的に導入し、効果を確認しながら、徐々に対象を拡大していくのが望ましい。

 ITIL導入の一般的なアプローチは、図1の通り、4つのステップで構成される。

図1 図1■ITILの導入ステップ

 これらは、極めて当たり前のステップであるが、フィット・ギャップ分析(ITILアセスメント)の前に、あらかじめ達成目標を設定することがポイントである。昨今、ITILへの取り組みを開始した企業の多くでは、取りあえずコンサルティング会社にITILアセスメントを依頼し、その結果報告をもって、何をどうしようとするかを考えようとする傾向が強い。外部の専門家に自社の状況を客観的に評価してもらうこと自体は、決して間違ったことではないが、本来、より目的を前面に打ち出した方が効率的なアプローチが可能である。

 簡易的なITILアセスメントであろうと、全10プロセスを対象にするとそれなりに時間とお金がかかる。しかし、その結果はいわゆる定期健康診断レベルでのものであり、人間ドックレベルの結果は期待できない。ある程度自覚症状があるのであれば、対象を絞って人間ドックの精密検査を受けた方が効率的ある。

失敗しないための3つのアプローチ

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