OpenOffice.orgの「Base」はAccessを狙わず何を目指したかOOo 2.0が変えるオフィスアプリ基準 第5回(1/4 ページ)

Microsoft Accessといえば、その適用範囲は単体としてのDBとしてはもちろん、他DBのフロントエンドとしても利用されることが多い。OpenOffice.org 2.0が変えるオフィスアプリ基準の5回目は、新生「Base」との互換性を検証してみた。

» 2005年08月18日 08時00分 公開
[可知 豊,ITmedia]

 オープンソースのオフィススイートソフト「OpenOffice.org 2.0」には、データベースソフト「Base」(ベース)が新たに追加された。「OpenOffice.org 2.0が変えるオフィスアプリ基準」の第5回目は、このBaseについての基本概要、そしてAccessとのデータ互換性検証を行っていく。

 Baseは、リレーショナル機能を備えた本格的なデータベースである。データベースエンジンには、Javaで実装されたオープンソースのデータベースHSQLDB(関連リンク)を採用しているほか、多くの種類のデータベースに接続できる。表計算では扱いにくい複雑で大量のデータを処理するには、このようなリレーショナルデータベースが欠かせない。

 これまで、AccessやOracleのような商用データベースを始め、MySQLやPostgreSQLのようなオープンソースのデータベースツールが幅広く使われてきた。

 OpenOffice.orgの従来バージョン1.xでは、「データソース」というデータベース接続機能により、データベースのクライアントとして利用できた。今回、新たに追加されたBaseにより、OpenOffice.orgだけでデータベースを利用できるようになったことを意味する。データベースを使い始めたいユーザーにとって便利だ。

 ただし、Baseは、Microsoft Accessとの互換性を目標に開発されたツールではない。Accessのデータベースに接続して、テーブルやクエリーにアクセスでき、画面デザインや操作もよく似ているが、フォームやレポートには互換性がない。Accessのmdbファイルを開いたり、Baseで作成したデータベースをmdbファイルで保存できないのだ。また、マクロBasicにも互換性がない。Accessの置き換えを狙っているユーザーにとっては、移行に一手間かかることになる。

 それでは、何を目指したソフトなのだろうか?

画面■バージョン2.0に追加されたデータベースツールBase。画面構成は、Accessとよく似ている。左フレームで「テーブル」「クエリー」「フォーム」「レポート」を選択する

Baseでできること

 Baseの機能について見ていこう。機能構成については、Accessとほぼ同じだ。「テーブル」「クエリー」「フォーム」「レポート」を組み合わせてデータベースを作成する。作成方法として、デザインビューとウィザードが用意されている。また、SQLを直接記述することもできる。

画面■クエリーのデザインビューで、取り出すデータを内容を設定する

 フォームとレポートには、ワープロのWriterを利用している。どちらも、文書中にコントロールとフィールドを埋め込んだ形式になる。そのため、Writerと同じ操作で、フォームとレポートを編集できる。帳票のデザインのためにWordファイルを利用したり、レポートをPDFファイルに出力するといったことが可能だ。

画面■フォームのデザインビュー。Writerの機能をそのまま流用しており、文書ドキュメントにコントロールを配置する形式になっている
画面■こちらはレポートのデザインビュー。文書ドキュメントにフィールドを配置する

 Baseで作成したデータベースは、*.odbというファイルになる。この中に、テーブルやクエリー/フォーム/レポートの設定が全て納められる。フォームやレポートの元になる文書ドキュメントもこの中に格納される。

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