7分で分かる9月のBlog界(1/2 ページ)

ブログ利用の多様さ、スパム対策のための拡張が9月のブログ界で目立った。ブログ情報をいかに活用するか、速報さをどのように活かすべきか? これからのブログの方向性を知る上で重要なものがいくつも見られた。

» 2005年10月07日 14時41分 公開
[森川拓男,ITmedia]

ブログは政治に影響を与えるのか

 9月11日。総選挙の投開票が行われ、自公連立が予想以上の大勝をし、衆議院の議席の3分の2を占めるという結果になった。

 「8月のBlog界」でも触れたように、今回の選挙では、「ブログと選挙」「ネットと選挙」も注目されていた。これは、候補者や政党のネット利用というよりも、有権者サイドの立場から、だ。そうというのも、公職選挙法の解釈により、選挙期間中のネットでの選挙活動は制約されるため、あのライブドアの堀江社長でさえ、ネットを封印した選挙活動を展開していた。

 果たして、この姿がネット社会での選挙戦なのか? この動きでよいのだろうか。各政党も、ネットに対しての動きを見せている。今後の改正に期待しよう。

 その一方、選挙期間中、数多くのブログがこの話題であふれていた。特定候補者や政党に関する記述は、公職選挙法に触れるからと自粛するブログがある半面、自分の立場を明確にしながら論戦をするものも目立った。もちろん、刺客だ、郵政だと、面白おかしく取り上げるワイドショー的なマスコミ報道を見て、率直な感想を述べるにとどまるものから、主婦の井戸端会議的なものまで、さまざまだ。どちらにせよ、選挙を話題にしたブログは数多く、投票率の上昇に一役買ったのは間違いない。それが果たしてどのような投票行動に結びついたのか? は、今後検証される必要があるが……。

 ブログが有権者の民意を発信する道具として成立しているのか。今後、ブロガー側、政治家・政党側の双方の視点から、しっかり見ていかねばなるまい。

スパムの抜本的解決策はあるのか

 それでは、各ブログサービスについて振り返ってみよう。

 毎回、抜かすことができない話題があるとすれば、各ブログサービスにおける「スパム対策」ではないだろうか。それほどに、あらゆるブログサービスでスパム対策についてのアナウンスや、機能拡張などが行われている。それにも関わらず、相変わらず多様なスパムが到来する。スパムといえばスパムメール、迷惑メールだったが、今では迷惑コメント、トラックバックが急増しているのが実態なのだ。

 ライブドアは8月31日、同社の有料ブログサービス「livedoor Blog PRO」のコメント機能の強化を実施した(関連記事)。今回の機能追加によりコメントの設定に、「コメント受信時の状態」と「livedoor ID認証の種類」が設定可能となった。

 「カフェ・ウェブリブログ」は、9月21日に機能強化を実施(関連記事)。スタンダード版で提供済みの機能を追加し、トラックバック元のIPアドレスが確認できるよう機能実装した。

 「Seesaaブログ」でも9月27日のメンテナンスで、スパム対策強化が行われている(関連記事)

 また、スパム対策とは少し異なるが、「269g」(ブログ・ジー)は9月8日、投稿されたコメントやトラックバック内容を編集し、保存できる機能追加を行っている(関連記事)。文字化けしたトラックバックを受けることがあるが、その修正が可能なのは付加価値としてもよいだろう。

更新して1分後には検索可能に?

 読みたい内容のブログ記事を探すために、各種検索サービスが登場している。しかし、速報さが特徴となるブログにおいて、さまざまなサイトから最新情報を得るのはなかなか難しい。RSSリーダーを使えば簡単なようでもあるが、探すためのサイト登録が必要となる。一方、従来までの検索サイトでは、登録されるまでにタイムラグがあるわけだ。

 「Ask.jp」が9月14日にスタートさせたブログ検索サービスのβ版は、これを解消してくれるものとして注目された(関連記事)。ブログ投稿されてから最短1分をウリとしている。ポッドキャスティングや画像に絞りこんだ検索も可能となっている。

ブログと文学賞

 出版不況といわれる中で、ネット発のブログを中心とした書籍化が進んでいるのは周知の通りだ。そして、ブログサービスと出版社が手を組んだ形での文学賞開催という試みも始まった。

 9月21日に発表された、「ゴールデン・ブログ ・アワード」がそうだ(関連記事)。文芸社とSo-netが開催するものであり、ブログを用いて「10年をめぐる物語(ストーリー)」をテーマにした小説とエッセイの作品を対象とする。投稿にはSo-net blogが利用されていることが条件で、ブログと文学賞の融合がポイントとなっている。完成された作品を投稿するもよし、ブログで読者の反応を見ながら完成させていって投稿するもよし、だといえる。ブログという媒体を使うことで、果たしてどのような作品が受賞され、出版されるのだろうか。

学生をターゲットにしたブログサービス

 子供から大人まで幅広い層がブログを利用しているが、やはり学生利用の割合も多い。時間も行動力もあり、ケータイなどのツールを使いこなす学生は、ブログを利用する中核の層かもしれない。従って、そこにターゲットを絞りこんだサービスが登場するのも時間の問題だった。

 9月14日に学生向けブロードバンドサイト「CampusNavi」を運営するゲッティが、無料ブログサービス「CamナビBlog」を追加した(関連記事)。学生の参加者100万人を目指し、初年度売上1億円、3年後には売上3億円を目指すという。無料の会員登録を行えば、誰でもすぐにブログを始められる。今後、2006年4月には音声ブログ(ポッドキャスティング)や映像ブログ、モバイルブログにも参入の予定という。

AIBOがブログを?

 最近はケータイからブログを更新できる“モブログ”が流行している。ケータイから写真や動画を直接アップロードすることで、いつでもどこでもブログを更新できるのがウリだ。さらにいまでは、BlogPetなどが覚えた言葉を使ってブログを書いたりするようになっている。そしてついに、ロボットがブログを書くようになろうとしている。

 そのユニークは展開として、AIBOがブログに関わった。

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