OSDLが公開特許のオンライン情報センターを開設(2/2 ページ)

» 2005年11月21日 10時24分 公開
[Jay-Lyman,japan.linux.com]
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特許の価値とサイトの効果

 オープンソース・ライセンスと法律の専門家ラリー・ローゼン氏は、特許権がオープンソースに要求されない限り、この特許サイトの真価が明らかになることはないだろうが、ソフトウェア特許をめぐる錯雑に光を投げる手だてにはなるだろうと述べた。

 「情報提供については、何であれ、わたしは反対しません。大きな混乱と不安を引き起こしている分野では尚更のことです」(ローゼン氏)

 しかし、ローゼン氏は大手技術企業の特許公開について若干の疑念を持っている。例えば、2005年1月にIBMが500件の特許を公開したが、オープンソースの開発者にとってほとんど無意味なもので、IBMの点数稼ぎと見なされていると言う。

 「もう一点指摘したいのは、ほとんどの特許にはさしたる有用性はないということです。期限切れが近いか、回避が容易なものばかりなのです。真価は、特許権がオープンソースに要求されたときに明らかになるでしょう。そのとき、Patent Commonsは盾となると思います」(ローゼン氏)

 とはいうものの、産業界の特許を大規模に収集することについての利点は認めており、Patent Commons――500件以上を超える指定された特許が掲載されている――はオープンソース・コミュニティーにとって心理的な武器、そしておそらくは価値ある武器となるだろうと述べた。

オープンソースに対して特許の利用を許容する理由

 Red HatのWebbink氏によると、ソフトウェア特許はオープンソースにとって危険だというベンダーとしての立場から同社は特許を公開したのだという。

 「特許は業界にとって致命的な害毒だと当社は主張してきました。しかし、現実の世の中を見ると、直ぐになくなる方向には動いていません。特許に関しては、コミュニティーと株主に対する責任があると考えています」と述べ、同社が「制限的または保護的なオープンソース・ライセンス」――それでもオープン性は維持している――を採用していることを強調した。

 そして、Linuxソフトウェア・デザイン特許、カーネル開発特許、TUX Content Accelerator、Execシールド・セキュリティ・ソフトウェアについては、いずれも、Red Hatの特許運用指針により、オープンソースのユーザーと開発者はIPに関わる権利の要求を全く心配せずに利用できると述べた。

 また、Red Hatの大規模な顧客は「持つものが多ければ標的も大きくなる」ことを理由にPatent Commonsサイトに特に興味を持っていると言う。

 IBMのストーリングス氏は、Patent Commonsサイトによって同社が利用を許容している特許などを調べ利用するのが容易になると評価している。同社は特許を「これからも蓄積」し、来年1 月には、特許保有件数で2位以下を大きく引き離して米国内トップとなることを再度発表する予定だが、その一方で特許公開をオープンソース・コミュニティーを支援する手段の一つと見ていると言う。

 「自社のポートフォリオの一部を切り離して提供し、その他のものと合わせて創造的活動に使ってほしいのです。次に来るべき革新の波は、コラボレーションとオープンソースと標準から生まれるだろうと当社は見ています。それは、これまで以上に大きな何かを生み出そうとしています。当社は発明し特許を得て活動する企業ですから、特許を提供する(ことでその波に貢献しようとしている)のです」(ストーリングス氏)

 そして、Patent Commonsサイトは業界とオープンソースの成熟を示すものであり、オープンソース開発者によって大いに利用されるだろうと述べた。「一番最初にIPを検索をする際のプラットフォームになるでしょう」

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