次世代データ保護の主役は「リカバリ」

米EMCはデータ保護の分野でリカバリに注目している。データ保護はこれまでバックアップに重点が置かれてきたが、本来の目的であるリカバリを主軸にしているのが特徴だ。

» 2006年06月16日 15時02分 公開
[堀哲也,ITmedia]

 サービスレベルに応じた柔軟なリカバリを可能にしたい。米EMCはバックアップ/リカバリソフト「EMC Networker」を中核に、リカバリマネジメント戦略を推進している。6月16日、同社のEMCソフトウェア・グループ ソリューション&マーケティング ディレクターのコリン・ベイリー氏がプレス向け説明会で話した。

コリン・ベイリー氏 EMCソフトウェア・グループ ソリューション&マーケティング ディレクターのコリン・ベイリー氏

 リカバリマネジメントとは、データを復旧するリカバリを中心としたデータ保護の考え方。データ保護は、これまでデータのコピーを作成するバックアップ作業に重点が置かれる傾向にあったが、本来の目的であるリカバリに注目しているのが特徴だ。ディスクベースバックアップや、データの新規作成や変更を検知して継続的なバックアップを行うCDP(Continuous Data Protection)といった技術が登場しており、RTO/RPOを大幅に短縮したリカバリが行える技術的な土台が整ってきたことから登場した。

 EMCは、これまでバックアップ/リカバリソフト「NetWorker」を中心にデータ保護ソリューションを提供しているが、これにCDPソフトの「EMC RecoverPoint」やレプリケーションソフトの「EMC Replication Manager」「EMC RepliStor」といったソフトウェアを束ね、統一的なフレームワークでの動作を可能にする。顧客はこれらのスケジュールベースのテープバックアップやディスクバックアップ、スナップショット、CDPなどといったデータ保護技術をいちいち検討するのではなく、必要とするサービスレベルを選択すれば、最適な技術が自動的に適用されるようにするのが狙いという。

 そのために、バックアップ環境全体を分析・監視する「EMC Backup Advisor」を発表しており、日本でも新たに発表する予定だ。同ソフトはNetWorkerのアドオンとしてだけでなく、「NetBackup」「Backup Exec」「Tivoli」「HP Data Protector」と連携させて利用することができる。この分析機能があることで、保護対象のサーバからバックアップサーバ、ストレージといったバックアップ環境を一元的に把握・分析し、サービスレベルを最適化することが可能になるという。

 また、CDP関連してEMCは5月にKashyaを買収している。これはリカバリマネジメント戦略に則したもので、Kashyaを取り込むことでエンタープライズでも活用できるレベルにまで技術強化を図っていくという。

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