同じことが、シャープの液晶テレビである「AQUOS」にもいえる。シャープはAQUOSを生産している工場の名前を使い「亀山モデル」という強力なブランドを作り出した。亀山モデルには、「日本の経済成長を支えた団塊世代の職人が、普通の人には見えないような部品を器用に組み合わせて“こしらえた”貴重な製品」といった響きがある。
iPodを展開するアップルコンピュータや、ソニーが従来通りの「クールな」ブランド作りを展開する一方で、シャープはより現場感のある、職人の心をブランドへと変換したのである。
今後、製造業者は、PLMをはじめとしたITを駆使して効率的な商品開発をしなくては到底勝ち残っていけないのは確かである。しかし、消費者の心を引きつけるという最も基本的で、大切な取り組みを怠れば、成功はおぼつかないだろう。
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