Dell 2.0に未来は? 前CEO退任も顧客志向を推進するデル

デルは3月5日、都内のホテルで記者発表会を開催し、「Dell 2.0」を基本とする2008年度の事業戦略を明らかにした。旗振り役のロリンズ氏が突然退任したものの、同社は顧客志向の取り組みを推進することを改めて強調した。

» 2007年03月06日 08時00分 公開
[浅井英二,ITmedia]

 デルは3月5日、都内のホテルで記者発表会を開催し、2月から始まった2008年度の事業戦略を明らかにした。

 1月末に締めた2007年度の日本市場は、出荷台数で14%増、特にノートブックPCでは25%増という高い成長を遂げた。エンタープライズ分野においては、PowerEdgeサーバラインを第9世代製品に一新したほか、ファイバーチャネルストレージのラインアップを一新するDell|EMC CX-3シリーズも投入している。

 製品ポートフォリオの拡大や営業、サービス体制の整備もあって、昨年の同社のシェアは2ポイント上昇し、14%に達している。今年はこれをさらに1ポイント引き上げ、15%を狙うという。

「Dell 2.0」の推進を改めて強調するメリット社長

 記者発表会に臨んだジム・メリット社長は、「箱売りのDell 1.0から、より高い価値のソリューションを提供し、信頼される会社、“Dell 2.0”へ進化する」と話す。

 「Dell 2.0」は、ダイレクトモデルをさらに飛躍させ、顧客から信頼されるパートナーになり、顧客との関係を強化し、製品ライフサイクル全般で価値を提供する企業へと脱皮するグローバル戦略。価格だけでなく、付加価値をさらに高め、顧客満足度を最大化するほか、顧客のニーズの多様化に応えるべく、カスタマイズしたソリューションも提供できることを目指す。

 日本法人の売り上げの過半数はクライアント製品が占めており、エンタープライズ製品(サーバ/ストレージ製品)やサービス、ソフトウェア/周辺機器が残りを分けている。

 メリット氏は、「サーバ/ストレージ製品やサービスの売り上げを伸ばし、そして、単なる箱売りから脱し、トータルソリューションプロバイダーとなるべく、ソフトウェア/周辺機器にも力を注ぎたい」と話し、各事業での取り組みをバランス良く進め、ビジネス成長を図りたいとする。

旗振り役のロリンズ氏が突然の退任

 しかし、「Dell 2.0」という新年度からの戦略が出鼻をくじかれたのも確かだ。2004年夏に社長兼CEOに就任したケビン・ロリンズ氏が新年度入りを前にした1月末に退任し、創業者のマイケル・デル会長のCEO復帰を余儀なくされたからだ。Dell 2.0は、業績の陰り、証券取引委員会(SEC)の調査などが重なり、手腕を問われたロリンズ氏が昨年9月に打ち出し、新年度に向けて主導した取り組みだった。

 ロリンズ氏が退任したからといって「Dell 2.0」戦略そのものを急に変更できないのはもちろんだが、Dell 2.0自体は顧客志向を改めて重視し、最高の顧客体験を長期的に目指す取り組みだ。「顧客が満足し、彼らのニーズを満たしたとき、われわれの売り上げが伸び続けるということは分かっている」という昨年9月のロリンズ氏の言葉が示すとおりだ。

 デル日本法人でも、「Dell 2.0は顧客志向の取り組み。変わらず推進していく」と話している。

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